福島第二原発の奇跡/高嶋 哲夫
東日本大震災で、現在でも復興に大きな影を落としている福島第一原発事故。
こちら事故の規模があまりに大きく注目されることがなかったが、福島には、福島第二原発もある。
第一原発同様太平洋に面し、巨大な津波を受けたものの、こちらは爆発事故を起こすことなく、原子炉を停止冷却することに成功している。
この差は、いったい何なのか? これまで、あまり語られてこなかった福島第二原発で起きたことを詳細に伝えている。
実際に現場で働いていたさまざまな立場の人たちからのヒアリングで、当時一体何が起きていたのか、大変さはよく伝わってくる。
ただ図解がほとんどないので、わかりやすいかと言われるとそれほどでもない。
ここでいう「奇跡」は、結論を言ってしまえば、難局を乗り切ることのできた最大の要因は、何より、燃料である核物質を冷却するための電源供給が止まらなかった…からだ。
電源供給が止まらなかった以外にも、いくつもの幸運も重なっている。
もしこれが、福島第一原発だったら、今の日本は大きく変わっていたんじゃないかなぁ…と、現地で、実際の福島第二原発を見ながら思ってしまった。
福島第一原発の事故の規模があまりに大きくて、つい神様に祈ってしまいそうになるが、当然ながら、奇跡や幸運は、そう何度も訪れるものではないのだ。