ラジカセのデザイン!/松崎 順一
一番最初に持った自分専用の"機械"って、もしかすると、ラジカセなんじゃないだろうか?
ガチャンと押し込むタイプのスイッチや、微妙な位置の調整が難しいダイヤルなどがずらりと並ぶラジカセは、まさに「アナログの塊(かたまり)」という感じだ。
具体的に何をしたいということはないのに、なんだかとても格好良く感じた。
自分も同じようなラジカセを持ってたから、同じ機種はないかなぁ…と探してみたものの、残念ながら見つけることはできなかった。
ラジカセ全盛時代の最後を経験した自分としては、本書で紹介されている1970年代から80年代煮かけてのラジカセは、既視感がすごい。
スイッチの形状といい、全体のデザインやガッチリとした作りといい、作り手の思いが伝わってくるような気がする。
現在は、すべてが、スマートフォンのような液晶画面に収まってしまい、こうした物理的なスイッチが露出している機械なんて、もう二度と現れることはないだろうし、そもそも「ラジカセ」そのものが過去のものとなってしまった。
なんだか寂しい気もするけど、こうした時代の変化に立ち会えたのは、幸せなことなのかもしれない。