4904 勝手に現場検証
今週4日(月)、東京メトロ半蔵門線九段下駅で、ベビーカーがドアに挟まり、車掌がそれに気づかず列車を発車させてしまったため、ベビーカーが大破するという事故があった。
伝えられた記事によれば、ベビーカーを押していた男性が乗ろうとした時点で、すでに発車ブザーが鳴っていたようだが、列車到着前にはすでに乗車位置にいて、他の客の乗車を待っていたために乗車できなかったというから、駆け込み乗車ではないようだ。
事故の経緯はこうだ。
最後尾の10両目にいた車掌は、乗客の乗り降りを目視で確認したが、べビーカーが挟まれているのを見落とし、発車の合図を送った。約100メートル走ったところで車内の非常通報ブザー、さらに50メートル先でホーム上の非常停止ボタンが押されたが、車掌はいずれも社内マニュアルで定められた非常ブレーキをかける操作をしなかった。
なぜ、非常通報ブザーも、非常停止ボタンも押されたにもかかわらず、なぜ車掌は止めなかったのだろう。
「次の神保町駅が400メートル先と近かったので、そこで確認しようと思った」。車掌はそう話したという。昨春入社し、今年3月に車掌の研修を終え、単独での乗務は19日目。営業運行中に非常ブレーキを操作した経験はなく、広報担当者は「電車を止めるのをためらってしまったようだ」と話す。
これは解せない。
特に、東京メトロの場合「車掌が確認した上で停止させたほうが安全」との考えから、非常停止ボタンが押されても列車は緊急停止しない仕組みになっているという。
それだけに、車掌の立場はより重要であり、それを無視した行動は、ちょっと異常に感じた。
記事でも…
大手鉄道会社の担当者は「初めて非常停止させる際は緊張するが、危険があれば直ちに止めるとたたき込まれているので、とっさに体が動くはず。非常停止しなかったのは信じられない」と話す。
…とあり、違和感が残る。
実際に現場を見てみようと、移動がてら九段下駅に寄ってみた。
九段下駅は、ある騒動?があってから、隣を走る都営新宿線と一部ホームを共用する状態になっている。
事故のあった車両の位置はホームの中間あたりで、ここは特段、変わった様子はなかった。
車掌が目視し発車の合図をする、半蔵門寄りのホーム端まで行ってみた。
すると、駅員ではなく背広を着た東京メトロ社員らしき男性が立っていて、列車が発車するたびに安全確認と、車掌になにやら話しかけていた。
今回の事故を受けた対応だろう。
この位置から前方を見てみると…ホームは直線で、見通しは決して悪くなかった。
ここから事故のあった6号車まではだいたい100mほどのところではあるが、途中で、一部ホームが狭くなっている箇所があり、そこを客が歩くので、時折見づらい感じはあった。
監視モニターからは、どう見えたのだろう?…と、確認してみると、後付けのためか、かなり小さめのモニターが取り付けられていた。
画面が小さいせいか、監視できる範囲が1、2号車と3、4号車のようで、事故のあった6号車は見えない状態だった。
まさに”死角”だ。
モニターの監視ができず、目視でも”見づらい”。
見えないのだったら、より気をつけるのかもしれないが、見づらいだけで見えないわけではない…というのが、実情だった。
非常通報ブザーや、非常停止ボタンの誤報がどの程度あるのかわからないが、こうした死角の存在をあらためて意識しておくべきだろう。