ロングセラー商品のデザインはここが違う/日経デザイン

芸術・デザイン

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ロングセラー商品のデザインはここが違う!
日経デザイン
日経BP社 2013-11-19

by G-Tools , 2016/02/17

 

世に登場する膨大な数の商品のなかから、ロングセラー商品となるのは、ごくごくわずかだ。

ロングセラー商品は、その商品そのものの品質もさることながら、その多くは、その存在を的確に伝えるパッケージデザインが大変優れている。

そしてそのデザインは、さまざまな試行錯誤を繰り返しているが、一般の消費者が見るのは、その試行錯誤の結果に過ぎない。

本書の前半は、そんな代表的なロングセラー商品のうち、飲料、食品、日用品など、17商品を取り上げ、誕生から現在までを追いながら、デザインの何を変え、何を変えなかったのか? 知られざる秘密に迫っていく。

後半は、誕生か比較的日の浅い商品が、ロングセラー商品を目指して、どういったリニューアルをしているのかを、こちらも具体的な例を挙げて紹介する。

どの商品も、おなじみのものばかりなのに、紹介されるエピソードは知らないことばかりで、とてtも面白い。

「カルピス」に描かれた、水玉模様は発売日の7月7日にちなんで天の川をイメージしたものだとか、「ビスコ」の坊やの顔は、最初はドイツの菓子を参考にしたために日本人らしくない表情だったが、発売後5年で日本人顔となり、。最新の5代目は数百枚の幼児の顔写真から「現代の子供の顔」を徹底的に研究したとか…。

「ホットケーキミックス」は、パッケージに描かれたホットケーキの重ねられた枚数が、5枚、4枚、3枚…そして、現在は2枚…と、時代を経ることに見事に1枚ずつ減っているのが興味深い。

ヤクルト「ジョア」のエピソードは印象的だった。

ジョアは、なんと、パッケージリニューアルのたびに、売り上げを落としているという状態だったそうだ。

ロングセラー商品は、高い認知度を誇る一方、消費者に「子供のころに親しんだ過去の商品で、今の自分のための商品ではない」と判断されれば、購買対象から外されてしまう。

だから「健康志向」という時代のニーズを、パッケージに反映していたのだが、それが消費者のイメージとギャップが生まれていたのだった。

ヤクルトの調査によってわかったのは、消費者が、ジョアに求めていたのは、機能性ではなく、おいしさや飲用時の楽しさだったということだった。

こうしたギャップを解消させた最新のパッケージでは、ついに初めて、販売本数が増加したという。

まさに、パッケージのリニューアル効果があったと見ていいだろう。

パッと見た目では、わかりにくい些細な変化でも、大切な意味があったりするわけで、今度、パッケージに変化のあった商品を見つけたときには、その狙いを勝手に考えてみるのも面白そう。

Posted by ろん