ハトはなぜ首を振って歩くのか/藤田 祐樹

■いきもの,龍的図書館

 

この本は「いかにも僕が読みそう…」ということで、おじゃこが紹介してくれた。

たしかにその通りで、何気ない光景が気になることはよくあって、ハトもそのひとつだった。

2000年5月に撮っていたハト以前から気になって写真を撮っていた。

まず、ハトの首振りの理由を知るには、実は、ハトは首を振っているのではなく、むしろ首を静止させている…ということから考えると、理解が進むようだ。

首を静止させる、目の位置と止めることで、少しでも景色に焦点を合わせる時間を確保しようとしているのだという。

だから、たとえ歩いていなくても、風景が動けば首を振る(首を静止させる)ことが実験で証明されている。

実は人間も、これとまったく同じ動きをすることがある。

それは、バスや電車の車窓から風景を眺めるときだ。

前に進みながら、横を見ていることになるが、これは、目が横についているハトが前に進むのと同じ状態だ。

このとき、人間の目はどうなるか?

首は振らないが、目をキョロキョロさせているだろう。

まさに、これはハトが首を振るのと同じ原理なのだという。

動く景色に少しでも焦点を合わせるために、眼球を静止させている。

人間は眼球を動かすことができるために、目だけを静止させることを繰り返すことでキョロキョロさせるが、ハトはそれができないため、首を動かしているのだ。

よく見るとすごいことが書いてあるなるほど! 人間にも共通するところがあることは、かなりの驚きだった。

ペンギンの立ち姿が人間に似ているから…と山手線のホームでペンギンを立たせた写真が載ってみたり(p.31)、パラパラ写真でハトが動かしてみたり(p.41)、…と、全体的にノリが軽い感じで、楽しく読める。

ハトとは逆に、なぜ首を振らない鳥がいるのか?とか、鳥の祖先とも言える恐竜は首を振っていたのか?とか、疑問も広がってくるが、そうした疑問にも丁寧に答えている。

最近は、タイトルで読者を釣る本が少なくないなか、この本は、本当に「ハトはなぜ首を振って歩くのか」を徹底的に紹介しているところに、好感が持てた。

とてもおもしろい本だった。

Posted by ろん