4490 アゲハのこだわり
店の改装工事をしているのか、壁の一部と思われる石膏ボードや断熱材などの廃材次々と、トラックへと運び出されていた。
トラックの脇を通り過ぎようとした瞬間、何かが、ひらひらと舞っていた。
気になって戻ってみると、それは、アゲハチョウだった。

慌ただしいトラックの荷台から、アゲハチョウが付かず離れずといった距離で飛んでいる。
しばらく見てみると、廃材の上に止まったりもしている。
そうこうしているうちに、また廃材が運び出されるから、止まったままではいられず、ふたたび、ひらひらと飛んでいくが、遠くには離れることはなかった。

この珍客には、作業している男性も、トラックの脇を通る人にも、奇異に映ったようで、まじまじと見つめていた。

小さいくせに、すごい存在感ではあったが、近くまで寄ることができなかったので、何をしているのかはよくわからなかった。
残念ながら、あまり時間がなかったので、気になりながらも、この場所を後にした。
このトラックの荷台にこだわり続けたアゲハチョウ、いったい何をしていたのだろう…?
あまりのこだわりに、ふと、このアゲハチョウに、何かが宿っていたのでは?…なんてことも思いたくなってしまった。