4423 成田空港 空と大地の歴史館
航空科学博物館からすぐのところに、「成田空港 空と大地の歴史館」という施設があるのを看板で知り、ちょっと見に行ってみることにした。

郷土の歴史とか、地元の特産物とかの紹介なのかな…と思ったら、ちょっと雰囲気が違う。
成田空港の計画が発表され、猛烈な反対運動を経て、開港し、現在に至るまでの歴史を振り返った施設のようだ。
かつて、この地は、御料地などもある、のどかな農村地帯だった。

成田は、他とは違った“いわく付き”の空港だと思うのは、僕らの世代くらいまでだろうか?
過激派の存在は、成田空港の反対運動で知ったと思う。
でも、空港建設を推進する立場からすれば、忌々しい抵抗勢力なはずだ。
だから、いかに反対運動が激しかったかを物語るような詳細な展示がなされていることに、ちょっとビックリした。
空港近くの関連施設で、「国際空港粉砕」なんて書かれた横断幕を見ることになるとは思ってもみなかった。


おそらくこれまではタブーとされてきたようなことまで、赤裸々に説明がなされている。
火炎瓶まで紹介されているのには驚いた。

開港直前に、過激派が管制塔を占拠し、破壊の限りを尽くした事件も、経過が詳細に記されている。
今の感覚からすると、ちょっと考えられないことばかり起きていた気がする。
ただ、このときには、すでに僕はこの世に生を受けていたわけで、知らず知らずのうちに、同じ時代の空気を吸って生きてきたのだ。
なんだか不思議。
ようやく開港にこぎ着けた成田空港。
その後のドキュメントや、なかなか沈静化せず、対立の続く状況などが紹介されていた。
そして、長い沈黙が続いたのちに、ようやく国と反対派が話し合いのテーブルにつき、地元も空港に理解を示すようになってくる。


ここまでこじれたのは「最初のボタンの掛け違い」…という話も聞くが、実際はそう簡単な話でもない気がした。
明らかに当時の置かれた状況が大きく作用しているはずで、どんな場所でも起きてしまうんじゃないかなぁ…となんとなく思った。
きれい事ばかりではなく、タブーとされそうなことにもきちんと触れた施設に、ある種の感動すら覚えてしまった。