[社会の窓]逆転の発想
昨日見てきたペンシルロケットは、日本のロケット開発の原点だ。
戦後、日本は航空宇宙の研究開発を一切を禁止され、その後、ようやく再開が認められたときには、資金も施設も計測機器も、あらゆるものが足りない状態からスタートせざるを得なかった。
もちろん、欧米から大きく後れを取っていた。
ふつう、どこから手を付けたらいいか…と考えてしまいそうだが、
大型の実験機を縮小して実用化するのではなく、小さな物を巨大化して実用にするという「逆転の発想」をしたのが、ペンシルロケットだった。
ロケットを推進させるの火薬は、既製品をそのまま使った。
その結果、ロケットはわずか23cmという大きさになった。
おかげで、数多くのロケットを作ることができたし、実験も繰り返すことができ、基本設計、実験手法、飛翔能力計算、光学観測の手法が確立されることになる。
ただ、当時は、レーダー装置がないので、空に向けて飛ばすのではなく、地面に平行に飛ばし、1m間隔に張った紙を突き破るようにして、飛行特性の測定を行うこととなった。
これも、ペンシルロケットだからこそ、こうした実験ができたわけだ。
限られた資源しかないから“できない”のではなく、限られた資源だからこそ“できる”ことがあるという、これも、逆転の発想。
こういう発想ができるようになるには、どうしたらいいんだろう…