伊豆急/伊豆急研究会
静岡県伊東市と下田市を結ぶ伊豆急行線は、1961年(昭和36年)12月10日の開業で、昨年開業50周年を迎えた東海道新幹線よりも早い。
先月も利用したが、伊豆急行(伊豆急)は、箱根登山鉄道と並んで、僕の好きな鉄道のひとつだ。
ちなみに、この写真は、2002年11月ごろ、伊豆に行ったときに撮った、すでに退役した電車たち。

伊豆急が好きなのは、開業当初から現在に至るまで、さまざまな種類の車両行き交う光景は、どことなく鉄道模型を感じさせられるからかもしれない。
第三セクターを含めれば、JRと相互乗り入れする鉄道は、近年はそれほど珍しくないが、50年以上前から、急行や特急、普通列車までが、鉄道事業者の境界を感じさせないくらいに次々と乗り入れる路線は、伊豆急行線の他に、ちょっと思いつかない。
本書では、豊富な写真と資料、当時の関係者の証言などを交えて、開業から50年の伊豆急を紹介している。
蒸気機関車に牽かれ新型車両が搬入される風景は50年以上の歳月を感じさせる。
さまざまな車両もさることながら、建設の経緯やその背景も興味深い。
少し鉄道に詳しい人であれば、伊豆急行は、東京急行電鉄(東急)傘下の会社であることは知られているだろう。
明治のころから、鉄道建設が悲願だった伊豆の人たちにとって、東京急行電鉄(東急)の伊豆進出は、歓迎をもって迎えられた。
途中西武鉄道系の駿豆鉄道というライバルが出現で異例の展開を見せる。
このあたりの話は、いわゆる「伊豆戦争」と呼ばれ、伊豆急はその中心的存在となるのだけど、この話は置いておいて…結局、東急に鉄道建設の免許が交付される。
「将来国鉄が必要と認めた場合はその買収に応じること」として国鉄と同規格で建設し、列車の乗り入れ等に応じることという免許交付条件があったという。
そういった背景が、現在に至るまで、独特な雰囲気を持つ鉄道であった理由なのかもしれない。
本書は、伊豆急の車両、編成、ダイヤなどの詳細な情報も網羅され、まさに「伊豆急のすべて」といった内容で、とても読み応えがあった。