4280 事件は当事者でない人たちによって作られる?
少し前から一部の週刊誌等で話題になっていたらしいが、盲導犬が何者かに刺されケガをしていたという“事件”を以前取り上げたが、実は盲導犬の皮膚病と誤解した疑いがあるという。
このような酷いことをする人がいなくてよかった…と思う一方で、どうして、事実かどうかわからなかったのに、ここまで大きな話題になってしまったんだろう?と思った。
この事件の顛末を伝える記事では、このようなことが書かれている。
盲導犬を診察した獣医師は…
「最初から私は『フォークで刺された』と断定はしていませんよ。皮膚病の可能性も十分あると思っていました。ただオスカーをうちに連れてきた飼い主の友人の話によると、飼い主は『オスカーが耳を掻くのも分かる』と言うほど、行動を把握しているという。そして、その飼い主が『出血の数日前に皮膚に異常はなかった』と言っていると聞いたので、刺された可能性も否定できないと答えたんです。
そして…
「オスカー事件」がここまで広く拡散したキッカケは、飼い主の職場の同僚の家族が、義憤に駆られて送った朝日新聞への一通の投書だった。その投書にはこう書かれていた。
〈全盲の方の愛犬が、お尻をフォークのようなもので刺されました。(中略)こんなことをしたあなた。これは、いたずらでは済まされないことですよ〉
こう見てくると、獣医師だってあくまで可能性を言ったまでだし、投書した人も良かれと思っていたに違いないわけで、誰が悪いというわけではない。
けれど、ちょっと気になるところがある。
獣医師が刺された可能性に根拠は、飼い主からの証言ではなく、飼い主の友人の話だったということ。
そして、新聞に投書したのも、飼い主ではなく、飼い主の職場の同僚でもなく、飼い主の職場の同僚の家族ということだった。
最初は、「刺された可能性も否定できない」だったのが、「刺されたに違いない」となってしまったのだ。
こう見てくると、僕も含めて当事者でもない者が、可能性だけで、“事件”を作ってしまっているのでは?という怖さも感じる。
それに加勢したのは、投書の内容の裏付けがないまま掲載した朝日新聞だと思う。
多くの人たちに盲導犬に注目が集まり、実際には、こんな酷いことをする人はいなかった!というのは、喜ばしいことだけど、モヤモヤした感じは残る。