「先送り」は生物学的に正しい/宮竹 貴久

 

生物が生き残るためのさまざまな知恵や技術を、とても、わかりやすく紹介している。

一般的に、自然界で生物が生き抜いていく一番の条件…それは、強いくなければならない…ということだ。

当たり前といえば当たり前だけど、これがシンプルなルールだ。

でも、おもしろいのは、これがただ「強い」という単純な話ではなく、より正確に言えば「生き残れたものが強い」というのが生物の歴史というところだ。

そして、これは人間の社会も同じで、生物から学べることはとても多い。

例えば、逆らえないような敵に対峙したとき生き物はどのようにして事態を回避するか?

たとえば、本書のタイトルになっている”死んだふり”…これは、まさに先送りそのものだ。

死んだふりをする、コクヌストモドキという虫を著者が綿密に調べたところ、死んだふりをすると、死んだふりができないタイプの方タイプを比べると、前者の生き残る確率が圧倒的に高いことを発見した。

この虫にとって、死んだふりはとても有効な生き残るための手段だったのだ。

じゃあ全部死んだふりをしたらいいかというと、そう物事はうまくいかないというのが面白い。

死んだふりをするタイプは、ちょっとした刺激で“死んだふり”をしてしまうため、結果的に異性との出会いまでも極端に減ってしまうというのだ。

そのため、死んだふりができないタイプの方がより多くの繁殖のチャンスがあるという。

他にも、擬態、寄生、共生など、さまざまな生物たちの知恵を紹介。

人間社会で起きる問題の数々を考えてみるとき、こうした生物の原点に立ち戻って考えてみるというアプローチはとても面白い。

とにかく、死んでしまっては何にもならない。

どう生き残っていくか?これを進化生物学から学ぶ。

機が熟すまでは先送りするのが生物の基本ではあるし、人間もたくさん学べるところも多い。

けれど、先送りが正しいというのは、あくまでも生物学的に正しいだけであって、日々に生活で先送りばかりしていたら、トラブルになりかねないのは言うまでもないだろう。

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