4219 “思いこみ”の裏に何があったのだろう?

社会・政治・事件

朝日新聞東京本社いま朝日新聞が大きく揺れている。

いわゆる従軍慰安婦問題で強制連行があったいう証言が、虚偽であったことを認めたのは良かったと思うが、その後の一連の騒動は、朝日新聞という新聞社が、極めて深刻な状況に置かれていることをさらけ出してしまった。

自社の意見を押し通したいがあまり、謝罪どころか、本質に誤りはないと言い切ったり、自分の意見に合わない池上彰のコラムに対しては、記事の修正を要求したり、自社を批判する広告に対しては、掲載拒否や内容の修正を行ったり…と、とても報道機関とは思えない対応を繰り返してきた。

問題となった朝日新聞の吉田調書また、福島第一原子力発電所事故で、当時の所長に対する調書(吉田調書)に関する記事でも、命令に背いて撤退したと報道されたが、実際にはそういった事実はなかったことも判明し、社内のチェックがまったく働いていなかった状況を露呈してしまった。

従軍慰安婦問題で強制連行があったいう証言は、ずいぶん以前から真偽のほどが疑わしいと言われていたし、吉田調書も一通り読めば、命令に背いたとならないことも分かるのに、ろくにチェックもせず、誤報を肯定し、批判する声に対しては、激しく抵抗し続けた。

驚いたのは、記者会見で、こうした事態が起きた原因として「思いこみがあった」という言葉が出てきたことだった。

この言葉を聞いたとき、報道機関のいう台詞だろうか?と思った。

これまで、見込みや思いこみによって、いくつもの冤罪という悲劇が生まれてきた。

報道機関は、それを批判してきたのではなかったか?

そして、もっと怖いのは、どうして思いこみが発生して、それを社内の誰も異を唱えなかったのだろうか?ということだ。

誰も気づかなかったのか?

当然ながら、そんなわけはなく、気づいても、口にできなかったのだろう。

かなり前にも、多数の個人(記者)が書いているはずの新聞記事に、新聞社の個性や主張に沿った記事が出てくる不思議について取り上げたことがある。

もちろん、それを否定するつもりはないが、これは、あくまで、事実に基づいているということが前提だ。

客観的事実を伝えた上で、初めて、主義や主張を言うことができるはずだ。

今回の問題の怖いところは、“誤った事実”を前提にした“思いこみ”でニュースが作られたというところだ。

しかも組織のチェックがまったく働いていなかった。

意志を持って世論を誘導しようとしたという意味で、単純ミス…で許されることではない。

なぜ、そう思いこんだのか? その裏には何があったのか? そうした点まで、踏み込んでもらいたい。

一部の人間の思いこみだけで、さまざまな人たちを混乱に陥れたのだから。

Posted by ろん