大人エレベーター/扶桑社
本書は、サッポロビールのCMでおなじみの企画を書籍化したもの。
それは、大人を旅する不思議なエレベーター。
その階には、どんな大人がいるんだろう
俳優の妻夫木聡が乗った“大人エレベーター”が止まるフロアには、その階数と同じ年齢の各界の著名人が待っている。
彼らと、ビール(黒ラベルか?)を飲み交わしながら、“大人”をテーマに語り合う。
僕も、ときどき考えることがあるけど、自分が子供のころ思い描いていたの大人は、落ち着いて“しっかり”していて、当然自分もそうなる…はずだった。
しかし、いざ年齢を重ねてくると、実は中身はちっとも変わらないままだった…ということに気付く。
そういう意味では、「大人とは『歴史を作る人』」と言う白鴎は、大人らしい大人のような気がする。
さすが、頂点を極めた者だから言える言葉だ。
自分の思ってる大人のイメージに一番近かったのは、リリー・フランキーの、「大人とは、子供がの想像の産物」という言葉だった。
大人とはこうあるべきだ…ということに縛られなくなってくると、気持ちは楽になるのかぁ…。
若いころのカードを持ったまま、大人のカードを増やしていきたい(スガシカオ)とか、生きるとは恥をかく回数(高田純次)といった言葉は、すごく参考になる。
何気ない言葉ばかりなのに、言葉のひとつひとつがぐっと迫るものがある。
テレビCMでは、わずか15秒とか30秒くらいしか見られないが、その前後にこれほど含蓄のある対談があったのだ。
CMだけではもったいない! …ということで、この本ができたのかもしれないが、別に番組を作って欲しいくらい。
全体を通してみると、大人を語るというのは、結局は、自分の仕事との向き合い方を語るということに通じるような気がした。
読んでいくうちに、「彼らが生きてきた時代がよかったんじゃないの?」…と僻みたくなるときもあったが、読み終えてみると、たぶん彼らは、どんな時代であっても、変わらずに、きっと“彼ららしく”生きられるのではないかという気もした。