国鉄・JR 悲運の車両たち/寺本光照

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国鉄・JR 悲運の車両たち (キャンブックス)
寺本光照
JTBパブリッシング 2014-08-22

by G-Tools , 2014/08/23

 

あまり鉄道に興味のない人から見たら、電車なんてどれも同じ…という風に思ってしまうだろうけど、実際には、かなりバラエティに富んでいる。

本書では、さまざまな鉄道車両のうち、実力を発揮する機会に恵まれず、本来の用途とは異なる使い方をされたり、極めて短い生涯を閉じたり…と、悲運の車両を紹介している。

蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車、電車、気動車、客車の6章で構成されている。

史上最強の電気機関車として誕生しても、景気低迷でそれほどのパワーが不要とされたり、ラッシュ時の乗降客をスムーズに裁くために作られた6扉車がホームドアを設置することが決まったために、誕生からわずか5年〜9年で消えてしまったり…。

新幹線911形ディーゼル機関車印象的なのは新幹線用のディーゼル機関車911型。
東海道新幹線浜松工場のイベントで見かけたこのディーゼル機関車は、東海道新幹線に万が一のことがあって立ち往生した場合に救援に向かうことを想定して製造されたという。
しかし、開業してみると、新幹線が無事故で運行し続けたことや、救援活動は、たいてい故障した新幹線の前後の営業列車が行ったために、結局1度も使われずじまいだったという。

誕生した時期が早すぎたとか、わずかに遅かったとか、時代に翻弄された鉄道車両たち。

鉄道車両は、条件が揃えば、長い場合は数十年にも渡って使用されることもあり、その誕生から消滅までのドラマをたどると、人間の人生にとても似ている気がしてくる。

Posted by ろん