[社会の窓]避雷針はハードボイルド
今日の午後、関東地方は大気の状態が不安定になることから、雷を伴った強い雨が降るという予報が出ていた。
ただ、自分の住む地域に限っていえば、幸いにして、それほど強い雨にならなかったが、比較的長い時間、雷鳴は響いていた。
雨のレーダーを見ると、少しずつ雨雲が近づいてきているのが分かる。
雨が降り出す、ちょっと前。外に出て、空を見上げた。
さっきまで明るかった空が、黒い雲に覆われつつあった。
ふと、近くのマンションの上を見ると、空に突き出す長い針が見えた。

避雷針だ。
あらためて考えてみると、避雷針という言葉は、ちょっと変だ。
そもそも、避雷針の仕組みは雷を避けるどころか、周囲より高く突き出すことで、雷を受け止めるもの。
だから、避雷針じゃなくて、本当は、受雷針?なのだ。
避雷針は、どんな風雨にも耐えうる強靱さと、“雷を避ける”なんて名前のくせして、実際には、身を挺して、数百万ガラ数億ボルトもの雷から周囲を守る存在なのだ。
ふと、ハードボイルドという言葉を思い出した。
感情や状況に流されない筋の通った生き様のことだ。
ちょっと大げさかもしれないが、避雷針は、まさに、すごくハードボイルドな奴なのかもしれない。