クリックしたら、こうなった/多田 文明

- クリックしたら、こうなった
- 多田 文明
- メディアファクトリー 2009-10
- by G-Tools , 2014/02/26
一時期に比べたら、かなり減った気がする迷惑メール(スパムメール)。
明らかに嘘だと分かっていても、頭の片隅に妙に引っ掛かる感じがするのは、きっと、自分だけではあるまい。
もちろん、自分も含めて多くの人は、そのメールを削除するのがふつうだ。
でも、もし、このメールに書かれたアドレスをクリックして、話に乗ってみたら…??
ちょっと怪しそうなビジネスの広告など、決しておもしろ半分にクリックしてはいけないところに、実際に著者が実際にクリックして、相手の術中にはまっていく。
業者のテンションとは裏腹に、淡々と冷静に事が進んでいくさまは、けっこう面白い。
著者が体験した、ある出会い系サイトでは、当選した50万円受け取るために、まずは正会員にならなければならず、それには最低5000円の入金が必要という。
で、50万円が手に入るのなら5000円は安いもの…と、著者は振り込んでしまう。
しかし、銀行振り込みは対象外で、業者指定の方法でなければならないと、規約にも書いてある…という事態に。
さらに先方指定の方法で入金したのに、50万円はお支払いできないという。
業者との要領の得ないメールのやりとりは、ある意味、“見事”だ。
読んでいて思ったのは、こういった業者は、けっこう最初からやってることが杜撰で、ツッコミどころ満載だということだ。
著者もちゃんとそれに気付いていて、軽く騙されたりもしている。
しかし、もしかすると…とか、今度こそは…という感覚から、どんどん深みにはまっていく感じがよくわかる。
占い、出会い系サイト、情報教材ビジネス、マルチ商法、セミナーの勧誘、オークション詐欺など、「いかにも」…といったさまざまな“怪しい”商売を、、著者自らが実際に体験する。
最初、“ネタとして”わざと騙されてるいるのだと思っていたが、どうも、本気で騙されているような感じで、著者のことが心配になってきた。
しかし、最終章だけは別で、読者からの相談メールをきっかけに、著者が業者と消費者センターに対し、極めて論理的に立ち向かうという話だったので、人ごとながら安心した。
読み終えて思うのは、やっぱり 「美味しい話なんてない」 ということだ。