野武士、西へ 二年間の散歩/久住 昌之
散歩好きの著者が、近所への散歩の足を伸ばして…大阪まで歩いていけないか?…と思い立つ。
もちろん一気には行けないから、行けるところまで行って、電車で帰ってくる。続きは同じ場所まで電車で行って、そこから再開する。
そのアイディアは、某月刊誌の連載をきっかけに実行に移される。
連載する月刊誌の編集部が神保町を振り出しにして、実に2年を掛け、ひたすら西へ向かっていく。
地図を持たずに歩くから、道に迷ったり、ときには逆走したりするが、そういったトラブルも楽しんでいる。
また、やたらとトイレ(すごくリアル…)と、食事の話が出てくるが、それだけ、重要な問題だったのだろう。
とにかく、話はゆるい。でも、そのゆるさがいい。
地図を持たないから、名所旧跡を一本裏道で通り過ぎてしまうこともあったという。
あくまであてのない散歩なのだ。
散歩…定義は人それぞれだが、僕の場合は、どんな場合でも見どころは外したくない。名所を見逃してしまったことをあとから知ると、心から悔やんでしまう。
でも、効率を求めない散歩だからこそ、いろんな発見があるということを、この本は教えてくれた。
著者は、以前放送していたテレビドラマ「孤独のグルメ」で知った。
会話や独り言が、まるで、主人公の井之頭五郎のようでおかしかった。
また、地元の居酒屋でいろいろ会話できるシーンを見ると、やっぱりお酒を飲めるのっていいなぁ…と思う。