3924 「カラーハンティング展」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

東京ミッドタウンにある、21_21 DESIGN SIGHTへやってきた。

先日も別の展覧会の見学のためにやって来たが、とんでもない混雑で断念したことがあるので、今回初めて。

10月6日まで開催中の「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」を見学。

写真撮影可能なのはありがたい。


カラーハンティングとは、今回の展覧会のディレクターである藤原大氏が提唱する、目の前にある景色やモノの色をその場で、紙片に写し取っていく作業のこと。

対象のモノの色に近づくよう、何度も何度も絵の具を調合し紙片に塗って写し取る。

霧ヶ峰でのカラーハンティングの作業を上映していたが、雪に覆われた山の中を歩き回って、カラーハントしている姿は、鬼気迫るものがあった。

雪だって、ただの白ではない。赤だって混ぜる。このあたりの微妙なさじ加減は、極めて難しい。

アフリカではライオンをカラーハント。

マサイ族の大地の色の上を、ライオン色に染まった靴が走り回っていた。

世界中とつながっている空の色を写し取ってみようと思い立ったのは、東日本大震災のあとだったそうだ。それから365日分、毎日写し取ったのが、「スカイダイアリー」という作品。

「国家珍宝帳」は、正倉院に収められた聖武天皇の遺愛の品のリスト。

これには、それぞれの品についての色が記載されているそうで、このうち20色について染織品の色の再現を試みた作品。

 

佐渡の小学生たちに、実際の朱鷺の色をカラーハントしてもらい、画用紙を羽の形に切り取った作品。

「みずいろハンカチ」は、ミネラルウォーターも含む全国49種類の水を使って、同じ条件でハンカチを染めた。

意外と差は微妙ななか、極端に違う色のハンカチが気になった(左下あたりの)。

これは、箱根の大涌谷の硫酸塩泉だった。

色を認識するメカニズムは人によって異なっている。一般とは異なるとされる人は、日本で300万人以上、世界では2億人以上もいるそうだ。

色覚のタイプは大きく5つに分けられるそうで、異なるタイプで見たときどう違って見えるかがわかるシミュレータ。

当たり前のように見えている色が、実はまったく違って見えている…なんてこともあるのだ。

誓いの証としての血判の代わりに、“強い思いをソフトに伝えるコミュニケーション手段”として作られたのが、「リップインク」

被験者の唇の色をカラーハントして、この色のインクを作り、大切な人に手紙を書くという試み。

すごく、おもしろい。

「あなたにとって『未来』は何色ですか?」という問いかけ。

さまざまな色のラベルから、1枚を選び、後ろの大きな台紙に貼り付ける。
かなり迷ったが、僕の選んだ色は、茶色だった。

地球上のあらゆるモノは、最後は自然に還るから…そんな気がしたからだ。

色をそのまま写し取るという行為って、単純なコピーのような気がしたけど、、冒頭で見たカラーハンティングの作業を見ると、けっしてそうではなかった。

現地で、その場で、実際に自分の目で見たまま写し取らないと、その色は、絶対に手に入れることができないのだ。

今回の、色というテーマは、ありそうでなかった切り口。期待以上の内容で、とてもおもしろかった。

Posted by ろん