3909 占いエレベーター
「次の信号に引っかからなかったら…」とか、「廊下で誰にもすれ違わなかったら…」という設定をして、それが達成されたら、「いいことがある」…みたいな“占い”を、無意識のうちに、けっこうしている。
実際これで本当にいいことがあるかどうか?…というと、かなり怪しいが、それでも、なぜか願掛けを繰り返してしまう。
ひとりでエレベーターに乗ったとき、扉の閉じるボタンを押し、停止階のボタンを押さないまま、ちょっとの間、じっとしてみる。
もし、他の階で呼ばれてると、当然、エレベーターは呼ばれた階に向かってくことになる。
「いいことがある」のは、自分の行きたい階に行ったとき。
「可もなく不可もなし」は、エレベーターがしばらく動かなかったとき。
そして、「悪いことが起きる」は、エレベーターが自分の行きたい方向と逆に向かったときだ。
!!
動き始めてしまった。
しかも、自分の行きたい階とは逆方向に…
このときは、沈痛な気持ちで、エレベーターに身を任せるしかない。
一体どこに連れていかれてしまうのだろう…?
(まぁその建物の階のそれ以上でもそれ以下でもないけど)
扉が開く。
エレベーターに人が乗り込む。
僕が乗っているにも関わらず、停止階のボタンは押されていない状態だ。
「エレベーターに乗ってたこの人(僕)は、どこに向かおうとしてるのだ?」
乗り込んできた人は、きっと軽い違和感を覚えるだろう。
あれ、僕は、一体何をしてるのだ?