3904 桃7個300円~が…
自宅に帰る途中、駅前に、1台の軽トラックが止まっていた。
「桃 7コ 300円〜」 とある。
安いな…。
つい最近、スーパーで見掛けた、特売の桃は、2個398円だったが、売り切れで買えなかったことがあったばかり。
これはお買い得ではないか?と思い、ふと足を止めてみた。
軽トラックの脇で、中年の男が、「味見していって」と、行き交う人に声を掛けている。
2人組の女性が立ち止まって、男と話をしはじめた。
詳しい会話は聞こえなかったが、味見をしたあと、男は…
「お姉さん、綺麗だから、6個1000円でいいよ」
7個300円はどこに行ったのだ? 結局、2人組の女性は、6個1000円で買っていった。
さっきのやりとりは気になるものの、僕も味見をしてみる。
なかなか美味しい。
すると男は、
「7個で300円なのは、こっち」
男が指を指した先にあったのは、これまで見たことのないような、恐ろしく小さな桃だった。
当然、味見をさせたのは、これではなく、山積みになっていた大きな桃だ。
そして、すかさず…
「本当は4個1000円だけど、お兄さん、格好いいから、6個1000円でいいよ」
乾いたお世辞に、イラっとくる。
そして、6個もいらないって…
買うのをやめようと思ったのを感じ取ったか、男は…
「じゃあ、3個500円でいいよ」
それなりにお買い得だとの判断から、この値段で手を打った。
自宅に帰り、さっそく1つ食べてみる…
けっして不味くはないけれど、すごく美味しいと言うほどではない。
そして2つ目は、固すぎてダメだった。
もう少し常温で保管して、熟すのを待つべきだった。
…っていうか、この桃は、本当に美味しい桃なんだろうか?
買った経緯のモヤモヤで、そんな疑いも頭をもたげてきてしまう。
本当に美味しい桃を食べたいのなら、下手な交渉をして失敗するより、最初から、少し高めの桃を買った方が良いんじゃないか?…と思った。