3895 NTT情報通信館を見学
逓信総合博物館は、大きく以下の2つで構成され、展示も完全に分かれている。
- NTT情報通信館(NTT東日本)
- 郵政資料館(通信文化協会)
まずは、「NTT情報通信館」を見学。
「NTT情報通信館」の展示は、2階と3階に分かれていて、「電信、電話、無線・伝送」といった部門別にその歴史や原理・仕組みなどを紹介している。
通信黎明期のころの機械を見ると、よくこれで電話ができたものだと思う。
通信網の整備を急いだため、街道沿いの松の木を、そのまま電柱として使っていたというのもすごい。
ポケットベルや、自動車電話…そして、ショルダーホンなどを知るのは、自分より上の世代だろう。
すごく気になったのは、ずっと辿ってきた電話の歴史で、もっとも新しい電話は、なんと緑のカード式公衆電話だったということ。
1階に“デュエットホン”なる受話器が2つ付いている公衆電話があったけど、進化がここで止まっているように見える。
インターネットやIP電話、携帯電話の普及といった、電話を取り巻く環境の変化には、一切触れていない。
緑の電話から先の時代の流れの速さは、博物館でもついていけないのかもしれない…なんて思った。
ちなみに、まったく普及しなかった、ICカード式公衆電話は、“黒歴史”だから触れていない?
続いて、2階へ。
古い電話帳が展示されていた。
“枕”と呼ばれたらしいが、10cmを越えるその厚さは、枕どころではない。
そして現在…
全国の電話帳が閲覧できるコーナーがあったが、1冊1冊がかなり薄っぺらく、用意してある棚の多くの部分が空きスペースとなっていた。
これも時代の変化を象徴するようだ。
かつて、大学入試の合否ば電報によって伝えられることが多かった。
いまでも、電報で使われた「サクラサク」は、大学合格を意味する言葉として通用する。
インターネットの普及によって、廃れてしまったようだが、大学によって、その地域らしい表現が見られて楽しい。
一番気になったのは、鹿児島大学。「サクラジマバクハツセズ」は不合格でいいのかな?
高知大学の合格通知「クジラガツレタ」も気になる。
かつて使われていた交換機を見ると、ゴチャゴチャしてる。
けれど、この電線1本1本のなかを音声が通り抜けていたと思うと、これはこれで頼もしく思えてくる。
音が伝わる仕組みや、電話の仕組みなど、わかりやすく説明されていた。
いろんな種類の黒電話があるなぁ…と思ってよく見たら、1960年代に海外から取り寄せたの世界の電話だった。
日本で普及した黒電話を開発する際に参考にするために集めたという。
言い方に語弊があるかもしれないが、ごく単純に思える“黒電話”も、かつては、世界から学んで作られたものだったのだ。
ふと、誰かが喋っている声が聞こえたので見てみると、マイクに向かって誰かと話をしている。
どうやらTBSラジオの中継をやっているようだった。
もちろん、今月いっぱいで閉館してしまうことの紹介だろう。
郵政資料館は、来年3月に移転が決まっているが、NTT情報通信館はそのまま閉館となり移転もないようだ。
これだけ充実した展示や資料はどうなってしまうのかちょっと心配。