ニッポンの刑務所30/外山 ひとみ

■社会・政治・事件,龍的図書館

外山 ひとみ
光文社
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この本はさまざまな刑務所の「今」の様子を、フルカラー写真で取り上げ、紹介している。

日本全国で現在77の刑務所・刑事施設があって、歴史も収容される受刑者の素性も大きく異なる。各刑務所でさまざまな特徴がある。

日本最古の刑務所の流れを汲む、「奈良少年刑務所」は、明治の監獄法が制定された年に建物が完成し、100年以上経った現在も使用されている。

放射状に伸びた舎房は、その中央の監視台に立てば、すべての受刑者の出入りをチェックできる効率的な仕組みを持っている。

以前見学した網走監獄も同じような雰囲気だったのを思い出す。

レトロな雰囲気は、ぜひ見てみたいが、受刑者にならない限り無理だだなぁ…なんて、ちょっと不謹慎なことを思ってしまった。

一方、最新の官民協働の刑務所として開設された「美祢社会復帰促進センター」は、セコムやニチイ学館、エームサービスといった民間事業者が運営に加わっている。

充実した施設や更生プログラムなど、従来の刑務所とは思えないレベルで、再犯で捕まった者が、「あそこは刑務所だったんですか?」と聞いてしまう冗談のような話もあるようだ(p.59)

行事ひとつ取っても…受刑者の半数以上が暴力団関係者という「横浜刑務所」だと、立派な刺青に、応援合戦も威圧感があり、刑務官の「座れ!」という怒号が飛び交うところもあれば、「岡山刑務所」では、穏やかな受刑者が多いためか、のどかな山あいの会社の運動会みたいという。

最近やってるか知らないが“刑務所24時”みたいな感じの特番があった。

こういった特番は、テレビの特性として、やたらとドラマ性を持たせることが少なくないが、本書では、ありのままも刑務所の姿を、あますところなく紹介されている感じで好感が持てた。

Posted by ろん