3883 インドアなのにアウトドア
一次会は、おなじみの“帝里加(デリカ)”。
飲食持ち込み自由というゆるさが特徴だったが、今回その貼り紙がなくなっていたのが気になった。
今回は初参加の方が非常に多く、1回の参加人数としては過去最高だった。
盛況のうちに一次会を終え、二次会(カプセル内覧会)へ。
ここ最近、二次会に参加してこなかったので、久しぶりに、いくつかカプセルを見学させてもらう。
どのカプセルも個性的で、魅力的だ。いつもながら、感心する。
住む人の家や部屋を見れば、その人の性格が垣間見えるものだが、興味深いのは、カプセルは非常に狭いため、住む人の考えや個性がより強く表れるということだ。
カプセルに入った瞬間にわかる。
まず気になること、意識することは、そのカプセルに空調設備が備わっているかどうか?ということ。
窓が、いわゆる“はめ殺し”のため、空調設備ないと、夏場はとても快適な生活は望めない。
カプセルを所有していれば、エアコンを設置する場合が多いが、借りていると、自分の力で対応するには限界がある。
空調の効いてる階段室から、扇風機などで冷気をカプセル内に取り込むか、最初から夏の暑い時期にカプセルで過ごすこと自体避けるかということになる。
今回、この発想はなかったな…と思ったのは、風呂場を空調室に変えてしまった例だ。
すでに温水の供給が止まっているため、事実上風呂やシャワーの利用はできない状態になっている。
この風呂場の活用も見どころのひとつだが、今回見学させてもらった方は、浴槽にスポットエアコンの本体を設置していたのだ。
さらに、吸排気のダクトの配置を工夫したり、効果を上げるため目張りしたり…と、涙ぐましい努力の跡も見えた。
二次会で過ごしたのは、水回り以外の一切の什器を取り払ったカプセル。もちろん空調あり。
ここで、みんなで壁に寄り掛かり、お酒などを囲むと、ほどよい距離が保てるので、初対面の人が多いにもかかわらず、不思議と話しやすく、とても過ごしやすい環境ができあがる。
猫自慢や蟻自慢?など、大いに盛り上がった。
そして、今回、ありそうで、なかった…と思ったのが、これ。
ここは、エアコン完備の快適なカプセルだが、目を惹いたのは、カプセルの中のテントだ。
このカプセルを借りている方は、諸般の事情から、カプセルにはときどき泊まる程度とのことだが、快適に夜を過ごせるように考えた解が、カプセルの中にテントを張る…というものだった。
テントの中には、キャンプで使う寝袋やシートがあって過ごしやすそう。
カプセル内での不自由さは、どこかキャンプでの不自由さに通じるものがある。
まさに、それを素直に形に表したのが、このテントなのだ。
中銀カプセルタワービルは、毎回訪れるたびに、たくさんの出会いや発見がある。
竣工から40年。取り壊しも取りざたされて、ずいぶん経つ。
建築や都市は、生物と同じように新陳代謝(メタボリズム)を繰り返しすもので、求められる変化に応じて設計すべき…という黒川紀章の思いは道半ばだったが、ここに住む住人達が、カプセル内部から、その思いを具現化している…そんな気がした。