3881 毎朝数メートル先の別世界
朝の通勤は、ほぼ毎日同じ時間に家を出て、勤務先には、ほぼ同じ時間に着くもの。
朝は、多くの人たちの行動が、ほぼ決められたスケジュール通りだから、すれ違う人も同じ…ということが少なくない。
人ではないけど、すれ違う1台のバスが気になっていた。
毎日ではないが、朝すれ違うバス。
クリーム地に青い帯…警察の車だ。
パトライト(回転灯)が物々しい。
ガラスにはスモークが掛かり、中の様子は窺い知ることができなかったが、ある日、太陽の光が建物に反射して車内がどうなっているのかが、ちょっとだけわかった。
全員が窓を背中にして車内を向き、等間隔で座っていたのだ。
おそらく警察署から、裁判所へ向かう護送車だろう。
一度気になり出すと、ついじっと車内を見てしまう。
道路を隔てた、わずか数メートル先で、毎日すれ違う別世界。
微動だにしない車内の人たちは、いったい何を思って、バスに乗っているんだろう。
後悔? 反省? 反発? …もしかすると冤罪だと訴えている人もいるかもしれない。
そして、彼らの目には、外の風景はどう映っているんだろう。