3860 夏本番を前に戦争を考える

物思いに耽る(雑感)

「堀越次郎と零戦」というムック本に、画家の大橋信之さんの絵がたくさん描かれているのを知りさっそく購入。第二次大戦で世界中にその名をとどろかせた“零戦”の生みの親である堀越次郎と、零戦こと零式艦上戦闘機の解説本だ。

この本はおそらく、もうすぐ公開される映画「風立ちぬ」に合わせて作られたのだろう。

彼の半生についてはまだ詳しく知らないが、“人を殺す兵器”の開発に情熱を燃やすということに、実は、若干の違和感を覚えていたし、そして、それをアニメ映画にする意味は何だろう?と思っていたら、ひとつの解が映画の企画書に載っていた。

自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである。夢は狂気をはらむ、その毒もかくしてはならない。美しすぎるものへの憬れは、人生の罠でもある。美に傾く代償は少くない。二郎はズタズタにひきさかれ、挫折し、設計者人生をたちきられる。それにもかかわらず、二郎は独創性と才能においてもっとも抜きんでていた人間である。それを描こうというのである。

 

昨夜放送された「天空の道標」というNHKのラジオドラマを聴いた。

太平洋戦争中、爆撃機に搭乗し進路を定める海軍の偵察員となった青年と、学徒動員によって爆撃機の進路決定の際に用いる表を作成する少女。青年の無事を祈りつつも、少女は空襲によってわずか17歳で命を落とす。

生き残った青年は、少女の墓の前でこう話すシーンがある。

任務を完全に遂行すること…出撃した者はそれだけしか考えない。自分の落とした爆弾で命を奪われる人のことなど頭の片隅にも浮かべない。

 

話はまとまらないのだけど、「堀越次郎と零戦」「風立ちぬ」「星の道標」のそれぞれが、共通する何かを示唆するような気がしてならなかった。

自分の本意ではない事態に巻き込まれたとき、人は何を思い、どう生きていくのか?

戦争是非や問題といったことではなく、個人の視点や人生という観点で戦争を見てみると、まったく違った見え方があるような気がした。

Posted by ろん