3849 発言する責任とその代償
今月上旬。ある県議会議員が、受診した病院で、自分を番号で呼ばれたことに腹を立て、受付に食って掛かった上に会計せずに帰宅したことをブログで公表。ブログは炎上し、ネットを賑わせた。
その後、ブログは閉鎖され、先日その県議は謝罪するに至ったが、今朝、遺体となって発見されたという。
まだ断定されたわけではないようだが、もし自殺だとしたら、今回の騒動が、まったく無関係ということはあるまい。
少々長くなるが、問題となったブログの一部を抜粋してみる。
6月上旬、3日ほど県立中央病院に通い続けていますが、当職と、ひと悶着がありました。
“241番”、“241番の方”、“お名前でお呼びします。241番の◯◯◯◯さん。”
→ん!僕を呼んでいるの?と気付いた瞬間、頭に血が上りました。
ここは刑務所か!。名前で呼べよ。なんだ241番とは!と受付嬢に食って掛かりました。
会計をすっぽかして帰ったものの、まだ腹の虫が収まりません。
(中略)
「お越しください?」。こちらは15,000円以上の検査料を支払う、上得意のお客さんだぞ。
そっち側から、“本日は有難うございました。”と、カウンターの外に出て、長椅子に座ってる患者の方に来るべきだろうが---。デパートでもどこでも、1万円以上のお買い物客に、“精算書を取りにこっちへ来い。”と顎でしゃくって呼び寄せますか?このブログをご覧の皆さん私が間違っていますか。岩手県立中央病院の対応が間違っていると思いますか!
(中略)
何故、見も知らぬ受付女性に、番号呼ばわりされなければならないのですか。
県立中央病院は、その理由をこう言ってくれました。『個人情報の関係上から云々---。』
個人情報の関係?。馬鹿言っちゃいかんよ。あんたのような個人情報の中身を知らない者が個人情報と振りかざすから、こんな窮屈な世の中になるんだ。何時何処で、私が氏名で呼んでくれるなと頼んだ?
「こりゃひどい…」
初めて読んだとき、騒ぎの発端となったブログの発言は、かなり違和感を覚えたのを思い出す。
当然ながら、発言はネットに拡散し、多くの批判が集まった。誹謗中傷も凄まじかったらしい。
そして今日…自殺というニュース…。
僕も、こうしてネットで発言しているという点では、この県議と同じだし、その発言が批判されないとも限らない。
自分の思ってもみない受け取られ方をされることもあるかもしれないし、知らないうちに誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。
なにかあったとき、その責任をどう取るか?
これには、あまり選択肢はなくて、問題があったのならきちんと謝るしかないだろう。これに尽きる…そう思っている。
でも、ふと思った。
覚悟をしてまで、ネットで発言する意味ってなんだろう?…と。
この県議の場合、覚悟の結果、責任の取り方が、自身の“死”だとしたら、あまりに不釣り合いだ。
一方、先述の通り、彼の発言に対して、やはりネットを通じて批判した人たちも大勢いた。
もしかすると僕もそのひとりになっていたかもしれない。
そう考えると、僕も、ネットの批判にさらされた“被害者”にもなるし、批判して追い詰める“加害者”にもなり得るわけだ。
いろいろ思うことはあるが、考えはまとまりそうにない。
ご冥福をお祈りします。
(人物を明確にする必要はないと考えたので、本文中、一部伏せ字としました)