映画「めがね」 ／2007年（日本）

この作品、以前見た映画「かもめ食堂」から多くのキャスト・スタッフを引き継いだ作品ということは知っていたので、以前から見てみたいと思っていたが、なかなか機会がなく、公開から実に6年の歳月を経て、ようやくテレビで視聴した。

島の浜辺の宿「ハマダ」に、都会からひとりの女性がやってくるところから話は始まるのだが、そのテンポは、かなり緩い。

かもめ食堂も、相当のんびりとした話の展開だったが、めがねは、より一層のんびり、緩くなっている。

いつまで経っても話が進まないような気すらしてしまう…。

この映画に何を求めるかによって、この映画の評価が分かれそうだ。

何もしないで過ごすことのできない僕としては、まったく何にもないリゾートのような場所は、最初はいいかもしれないが、きっと苦痛に感じることだろう。

この島でできることといえば、魚釣りとたそがれることぐらいらしいが、おそらくは、周囲を探検したり、何かを始めるだろう。

独特な雰囲気、個性的な登場人物に囲まれ、主人公の女性（小林聡美）は、戸惑いながらも、徐々にこの島の環境に慣れていく。

見ている僕も、だんだん慣れてきた気がした。

映画の中で、すごく気に入った言葉があった。

それは、道案内の地図に書かれていたコメントだった。ものすごく簡単に書かかれた地図に、こんなコメント（セリフ）があったのだ。

「何となく不安になってきて、そこから80mぐらい走ったら、そこを右」

よくここまで緩い道案内を書けるものだと、ある意味感心したし、こういう伝え方もあるんだ…と、新鮮な驚きもあった。