モノレールねこ/加納 朋子
ちょっと不思議な8つの短編集だ。
「不思議な短編」で、ふと思い出したのは、フジテレビのドラマ「世にも奇妙な物語」だった。 最近は、ガッカリさせられることが少なくないが、この本は、いずれも思わず引き込まれてしまう話ばかりだった。
なぜこの本を手にとったのか? それは、もちろん?僕が「モノレール」という言葉に反応したにすぎない。
モノレールねこは、太ったねこが、まるでモノレールのように塀の上を歩く様からそう呼ばれただけで、けっして、鉄道趣味的な観点でのモノレールではなかった。
でも読み進めていくうちに、そんなことはどうでも良くなって、どの作品も、話に引き込まれた。
特に一番気に入ったのは「バルタン最期の日」という作品。
バルタンとは、ペットとして飼われたアメリカザリガニの名前だ。この作品は、なんと、アメリカザリガニが主人公の話なのだ。
まったく予想外な展開…そして最期…。まさか、僕がザリガニが主人公の話に涙するとは思わなかった。
この著者の作品は、これまで読んだことがなかったが、いずれもすごく面白く、興味が出てきたので、今度探して読んでみようと思う。