山手線に新駅ができる本当の理由/市川宏雄

山手線に新駅ができる本当の理由 (メディアファクトリー新書)
市川宏雄
メディアファクトリー
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こういった具体的すぎるタイトルの場合、ガッカリさせられることが多いが、この本も同じだった。

本書は、タイトル通り、山手線の品川~田町間に、新駅が計画されていることを中心に書かれているが、とにかく内容がひどい。

著者は「都市政策専門家」という肩書きを名乗っているが、事実かどうかわからない憶測で書かれた記事や、素人の僕でもわかるような認識違いなどが散見され、驚いた。

まず…1987年に国鉄が分割民営化するとき、JR東海側が品川車両基地を新幹線車両基地として使わせてほしいと申し出たが、JR東日本は自分たちの固有の財産であると主張し拒否したことで、JR東日本とJR東海との関係がギスギスしたものになった…というのだ。

本当だろうか?

確かに、東海道新幹線の品川駅建設の際、その土地の購入金額について揉めたという話はあったが、車両基地については聞いたことがない。

なぜ大井車両基地があるにもかかわらず、わざわざ新たに品川駅近くに車両基地を設ける必要があるだろうか?

JR東日本は、世界の流れに反して集中にこだわり、上野発着の東北新幹線を東京まで延伸させたとか、当初新宿発着と噂されていた上越新幹線を東京に乗り入れたことで、自らの思想を実現した。(p.40)

著者は本当に専門家?

上越新幹線が新宿を起点とする計画は噂でも何でもなく、事実計画として存在したが、経済的な理由により、東北新幹線同様に、東京発着となっただけのことだ。

これは私見だが、JR東海がのちに東海道新幹線の一部を品川発着にしようと考えたことも、JR東日本には腹立たしかったのではないか。なぜなら、JR東日本は伝統的にすべての長距離列車を東京駅に集約したがる傾向があるからだ。(p.40)

湘南新宿ラインのような運行を見るまでもなく、JR東日本は、東京ばかりにこだわっているわけでもない。

集中させることは、結果的に利用者の利便性が向上する。

品川駅東口も汐留も、開発方法を見誤ってしまったのではないだろうか。とくに汐留の場合、これだけの敷地面積と駅への近接性があるのだから、たとえば六本木ヒルズのように、エンターテイメントや芸術などの様々な要素を複合させて、全体をひとつの街として有機的につくり上げる発想が必要だったのではないだろうか。(p.70)

この人は、本当に専門家なのか?ちっとも具体性のない言葉が並ぶ。
このレベルなら素人でも言える話で、僕だって2004年に同じようなことを言っている

品川や汐留と、六本木ヒルズと決定的に違うのは、デベロッパーが単独か複数かということだ。

だから、おのずとこういった差が出てくる。それを踏まえた上で、どうしたらいいのかを提言できないようでは、専門家と名乗るのは恥ずかしい。

日本橋、浅草、新宿など、東京は江戸の時代から、中心となったり、注目を集める地域が、どんどん移動しているのは誰の目にも明らかだ。

なのに、「都心は時間と共に動いていく」という私の持論(p.112)みたいに、勝手に持論にするようなことを言ったり、しまいには…もしかすると、時代が品川に、山手線新駅を求めたのかもしれない…とまで言ってしまう。

著者の肩書きや経歴を見れば、とても立派な方なのに、どうしてこういう本ができあがってしまうのか、謎としか言いようがない。

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