自動車と建築/堀田 典裕

自動車と建築---モータリゼーション時代の環境デザイン (河出ブックス)
堀田 典裕
河出書房新社
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自動車の存在が、建築や土木にどのような影響を及ぼしてきたか?という、これまで、こういった組み合わせの本は読んだことがなかったので、興味深く読んだ。

“ハイウェイ”、“スカイライン”、“パーキング”、“ロードサイド”の4つの切り口で、自動車と建築の関わりを明らかにしていく。

初期に作られた、名神、東名の両高速道路におけるサービスエリアの設計者は、いまから考えると、そうそうたる面々でビックリした。代表的な例だけでも…

大津サービスエリア 村野藤吾
多賀サービスエリア 丹下健三
養老サービスエリア 坂倉準三
浜名湖サービスエリア 芦原義信
足柄サービスエリア 黒川紀章
海老名サービスエリア 菊竹清訓

さまざまな建築家が参画することは、問題も多かっただろうが、新たな試みによる発見もあったはずで、当時の高速道路建設に対する、強い意欲が感じられる気がした。

直接、建築とは関係ないけど、興味深いエピソードが載っていた。

戦後、優先して着手すべき高速道路計画には、中央道、東海道、東海道海岸路線の3つの案があったという。

そのうち、当時の運輸省が、ドイツの「アウトバーン」に由来する名前を持つ「自動車道」としての「中央道」案を主張したのに対し、建設省は従来道路の一環であり、アメリカの「ハイウェイ」に由来する名前を持つ「高速道路」としての「東海道」案をそれぞれ後押したそうだ。

紆余曲折の結果、中央、東北、北海道、中国、四国、九州が「自動車道」として、名神、東名が「高速道路」として整備されたという。

この自動車道と高速道路の表現の違いについては…“高速道路を走り慣れていないドライバーが、「高速」という言葉のイメージからスピードの出し過ぎで、事故が多発したことから、警察の要請で「高速」という名称は使われなくなった”…と聞いたことがある。

でも、この説は、以前から違和感があったので、現在も続く呼び方の違いは、この本で書かれていたような背景があったという話の方が、ずっとしっくり来る。
ほかにも、興味深いエピソードとして…

パーキングメーターの当初の目的は、駐車場の確保ではなく…

「街路の駐車を整理し、有料駐車の習慣を一般に広め、収益は路外注車場整備の一助にあてる」 (p.114)

そもそも、「駐車することにお金が掛かる」という認識を持つことから、パーキングメーターは始まったというのだ。

話は尽きないが、本書で取り上げられた話には、これまで僕のブログでも紹介してきたものも少なくない。

東急ターンパイク(p.20)、丹下健三「静岡新聞・静岡放送ビル」(p.87)、中銀カプセルタワービル(p.140)、渋谷ターミナル(p.124)、立山黒部アルペンルート(p.106)、すかいらーくのようなロードサイドショップの登場(p.177)

自動車と建築の歴史をたどると、日本の風景を形作った背景を知ることができるのかもしれない。

とてもおもしろい本だった。

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