3729 立ち向かう相手が違う
大阪市立桜宮高校で、バスケットボール部顧問からの体罰を受けた翌日、男子生徒が自殺した問題で、橋下大阪市長からの要求通り、来年度の桜宮高校体育系2科の入試中止が決定された。
その決定に反対する記者会見が開かれたというニュースを知った。
記者会見をしたのは、この高校の教諭か、もしくは、入学を希望する子の親かな?と思ったら、なんと在校生だと知ってびっくりした。
少々長いがニュースを引用(Web魚拓のキャッシュ)する。
「本当に残念で、言葉が出ない」。入試中止決定を受け、同校の運動部の元主将ら男子生徒2人、女子生徒6人の3年生計8人が市役所で会見。「大人たちから一方的に体育科を奪われ、部活動を奪われようとしている」と橋下市長や市教委への不満を涙声で訴えた。
会議前のこの日午前、橋下市長は桜宮高を訪れ、入試中止決定を確信していたように、在校生や教職員を前に“事前通告”。「生徒に責任はないがクラブ活動よりもっと大切なことがある」と約1時間、直接説明した。
一方、生徒側は代表2人が「体育系学科があっての桜宮高。人生の一部である新入生の受験の機会を奪ってほしくない」などと切実に訴えたが、発言時間は計15分間だけ。橋下市長の心には響かなかった。女子生徒は「声を十分に聞いてくれなかった」と話した。
下校途中の体育科3年の女子生徒(17)も「将来の夢まで考えて準備している子もいるのに、本当にかわいそう。橋下さんが思っているように学校が変わるか分からない」と残念がった。
この記事を読んで一番の驚きは、同級生が顧問の体罰によって自殺したという事実に、まったく向き合っていないということだった。
同級生が死んでるんだよ!
生徒たちに問いかけたい。ひとりの人間が自殺に追い込まれたことに対する責任は、どこにあるのか?と。
もちろん、体罰を科した顧問に責任があるのはいうまでもないことだし、(良い悪いは別として)個人的な喧嘩とかトラブルが原因だとしたら、入試中止というのは行き過ぎだろう。
でも、血を流すほどの体罰を受けた生徒が目の前にいても、それを周囲でフォローすることなかった高校全体の雰囲気が問題なのではないのか?
そうした状況に向き合わぬまま、新しく生徒を受け入れることに、何のためらいを感じないだろうか?
僕には、入試を中止にするのは、問題に向き合おうとしない教師と在校生から、新入生を守るためなのでは?という気がするのだ。
そして、なぜ、この子たちの親をはじめ、周囲の大人たちは、この会見を止めさせなかったのだろう?という疑問も湧いてくるし、穿った見方をするならば、入試がなくなって困る大人が、手引きしてるのでは?という気がしてしまう。
会見をした生徒たちへ言いたい。
立ち向かう相手は、橋本市長じゃない。
本当に立ち向かう相手は、「多少の体罰は仕方ないよね」と、許容していた、君たちの通う高校の先生たちや、君たち自身なのではないか?…と。