散乱ペットボトルのツケは誰が払うのか/栗岡 理子

散乱ペットボトルのツケは誰が払うのか―デポジット制度の実現をめざして
合同出版
売り上げランキング: 185189
我が国のペットボトルの回収率…2010年で72.1%もあるそうだ。
僕の印象では、かなり高い気がするが、実際、この数字はちょっと疑わしいようだ。
荒川河川敷で18年間もゴミを拾いながら調査しているNPO団体の調べによれば、圧倒的に多いのが、飲料ペットボトルという。
とても、7割以上も回収されてるようには感じられないというのが、現場での実感のようだ。
本書では、どうしたら散乱するペットボトルを減らせるのか、リサイクルの現状とその問題点、改善方法の低減に至るまで、海外の事例を交えながら、丁寧に解説をしている。
その解のひとつが、飲料の売価に10円程度上乗せするデポジット制度だ。
試行した自治体や先行する海外での実績を踏まえれば、やらない理由はなさそうだけど、先述の“高く見える”回収率や、視覚的に値上げを感じさせることに対するメーカーの抵抗感など、障害も多そうだ。
本書でもデポジット制度に対する批判に対して、ひとつひとつ反証しているが、そのどれもが、納得できることばかりだった。
2010年にフィンランドを訪れたとき、しっかりとしたデポジット制度が確立しており、旅行者の僕でも、ちゃんと返金してもらったのを思い出した。
読んで一番考えさせられたのは、デポジット制度もさることながら、ただ分別して回収できればいいというのではなく、その回収方法も含めて検討しないと、自治体の費用負担が大きく変わってくるということだった。
こまめにゴミの収集をすれば、その分だけ、トラックが走ることになり、コストも環境負荷も増大してしまうのだ。
ペットボトルの回収を考えることは、ゴミ問題全体を考えることにつながるのかもしれない。
近年、消費者も環境問題に敏感になりつつあることを考えたら、多少の負担があっても。一歩踏み込んだ対策をしてもいいのではないかと思うし、本書を読んで、それをより確信することができた。