3644 黒部峡谷鉄道(後編)

旅行・見学・イベント, 鉄道

宇奈月駅周辺でうろうろしたあと、ちょっと慌てて列車に乗り込む。

列車は汽笛を鳴らし、ゆっくりと踏みしめるように宇奈月をあとにした。

トンネルをくぐるとすぐに新山彦橋の鉄橋を渡る。

隣には、さきほど渡った山彦橋が見える。列車が鉄橋を渡るとき、山間に山彦のように響くことから、その名前が付いたそうだ。

ヨーロッパの古城をイメージしたという新柳河原発電所は、ちょっとユニーク。

列車は右へ左へときしむようにして、ゆっくりと進んでいく。

仏石の案内看板。

かつて、徒歩で行き来した湯治客が休む茶屋があったところらしく、天然の岩が仏に見えるということで、仏石と呼ばれるようになったらしい。看板やガイドのイメージをして探してみたら、赤色が退色してて、一瞬わからなかった。

列車の交換(行き違い)は、旅客列車ばかりでなく工事専用列車もある。

客車の代わりに貨車やこんな“峡谷美人”なる車両も連結している。これには、上流で発生したゴミが入っているらしい。

列車が交換する駅はいくつもあるが、旅客が下車できる駅は、始発駅の宇奈月を含めて4つしかない。

その最初の駅は、黒薙。

観光バスで来たお客さんの多くはここで降りたようだ。

駅の途中から線路が分岐しトンネルに消えていた。じっと見ていたら、突然人の影が…工事関係者のようだった。沿線では至るところで工事が続いている。

工事というよりも、施設の維持管理のほうが適切な表現かもしれない。

列車が出発するとき、この関係者が、軽く一礼してたのを見て、ちょっと嬉しかった。

線路に並行して“冬期歩道”というこれまた工事専用の通路が設けられている。12月から4月いっぱいまで、黒部峡谷鉄道は冬期運休に入るが、その間に、何らかの理由で工事場所に向かうためには、この歩道を歩くことになる。

雪から歩道を守るため、ほとんどの区間がコンクリートの壁に覆われ、空気穴が開いている。

約20kmある欅平までの道のりを、冬期歩道を使って行くと、約6時間掛かるそうだ。何とも気が遠くなる。

黒部峡谷鉄道は、“ダムマニア”にはたまらないかもしれないが、一瞬見える車窓だけで近づけないのは、帰ってストレスになるかも。

文字通り、レール幅が狭い“小さな鉄道”ではあるが、そこを走る車両はバラエティに富んでいる。

駅に留置されていたのは、ギリギリまで荷台を低くして大きな荷物を運べるようにした貨車だった。JRにも同様の貨車はあるが、滅多に見られない。

駅ごとに交換設備があって、ほとんどの駅で、列車交換が行われていた。

 

車窓(といっても窓はないけど)からは、絶壁とも言えるくらいの峡谷を進んでいくが、このねずみ返しの岩壁もすごい。ほぼ垂直に200mの壁になっている。

こんな感じのところを、これから歩くことになる。

独特な形状の赤い鉄橋が見えてきた。

黒部川第二発電所に向かう引き込み線だそうだ。

いま、黒部峡谷の紅葉がピークを迎えている。

せっかくの紅葉がきれいに見えにくいのは、曇っているからだろう。

一瞬太陽が顔を覗かせたが、ふたたび、どんより曇ってしまい、見た目にも映えない。

鐘釣駅に到着。

黒部峡谷鉄道で最大の途中駅。20年ちょっと前に来たときは、僕は下車している。

この駅から行ける見どころは、万年雪と河原で作る“自分専用”の露天風呂だ。

前回来たときは、真夏だったこともあり、万年雪にはちょっと感動すら覚えた。

“自分専用”の露天風呂は、河原を掘ると温泉が湧き出し、川の水と混ぜてちょうどいいくらいの湯加減にする…という感じだが、観光客はひっきりなしに来るから、入る勇気?はない。とりあえず、足湯にしたのを思い出した。

鐘釣駅はスイッチバック式になっていて、列車はいったん後退してから出発する。

宇奈月から1時間近く過ぎると、すっかり身体は冷え、そろそろトイレにも行きたくなってくる。

そういえば、前回来たときもそうだった。鐘釣駅到着直前には、トイレに行くことしか頭になかったくらい大変だったのを、ふと思い出した。

車窓(窓はないけど)からは、魅力的な風景が次々と現れ、こんなに“てんこ盛り”なのがもったいなく感じる。

ようやく、終点の欅平駅が近づいてきた。

並行していた線路が、突然視界から消えるようになっていたのはいったい何だろう?

プラットホームと線路を挟んで反対側は、黒部川第三発電所になっていた。

欅平駅は、降車用と乗車用に分かれているものの、ホームが1本だけなので、出口から見て奥の方にある降車用ホームからは出口までは、プラットホームをたどってずっと歩かなければならない。

改札口に近いところに、なにやら池があったので、勝手に温泉とか足湯かな?なんて思い手を突っ込んでみたら、冷たい!!

よく見たら、イワナのいけすだった…

ストーブで暖まっている人たちの姿…改札口を抜けると、そこは冬だった。

駅構内や駅前は賑やかだけど、駅の外に売店等はなく、見どころも、少し歩いたところにある猿飛峡や温泉くらいしかない。

せっかくなので?、以前からちょっと行きたかったある場所まで行ってみることにする。

あまり天気はよくないが、雨は降ってないから、まぁいいだろう。

つづく

Posted by ろん