3616 けんけんがくがく
今日、会社でメールを打っているとき、この文字を入力しようとして、引っかかった。
けんけんがくがく
どうやっても変換しなかった。まぁ、漢字でどう書くかはわからないけど、この言葉を使いたかったのだ。
こういう場合は、自分が何らかのミスを犯している場合が多い。
単に入力間違いか、そもそもこの言葉が存在しないか?
今回の場合、後者だった。 けっこう普通に使うこの言葉自体、実は存在しないのだ。調べてみると、2つの言葉の混交表現なのだという。
この二つの言葉とは…
「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」は、「口やかましく騒ぎたてるさま」「たくさんの人がやかましくしゃべる様子」を表すことば
「侃侃諤諤(かんかんがくがく)」は、「正論を吐いて屈しないさま」「みんなが率直に意見を述べて議論している様子」を表すことば
今回表現しようとしたことは、「率直に意見をやかましくしゃべっていた」ので、まさに混交表現がピッタリなのだが、日本語として正しくないということになると、使うのもはばかられる。
ふと、先日、文化庁から、国語に関する調査結果が発表されたニュースを思い出した。
このニュースでは、正しいと思って使っていた言葉の意味を、多くの日本人が誤って使っていたと伝えられていた。僕も含めて。
調査対象の言葉・例文は、以下の通り。 ◯が正解。
煮え湯を飲まされる
(ア) 信頼していた者から裏切られる・・・・・・・・・・・・・64.3% ◯
(イ) 敵からひどい目に遭わされる・・・・・・・・・・・・・・23.9%
うがった見方をする
(ア)物事の本質を捉えた見方をする・・・・・・・・・・・・・・26.4% ◯
(イ)疑って掛かるような見方をする・・・・・・・・・・・・・・48.2%
にやける (例文:彼はいつもにやけている。)
(ア)なよなよとしている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.7% ◯
(イ)薄笑いを浮かべている・・・・・・・・・・・・・・・・・・76.5%
失笑する (例文:彼の行為を見て失笑した。)
(ア)こらえ切れず吹き出して笑う・・・・・・・・・・・・・・・27.7% ◯
(イ)笑いも出ないくらいあきれる・・・・・・・・・・・・・・・60.4%
割愛する (例文:説明は割愛した。)
(ア) 不必要なものを切り捨てる・・・・・・・・・・・・・・・・65.1%
(イ) 惜しいと思うものを手放す・・・・・・・・・・・・・・・・・17.6% ◯
注目は、最初の“煮え湯を飲まされる”以外、すべて間違って認識している人の方が圧倒的に多いということだ。
こうなってしまうと、正しく使っているつもりでも、相手にはその言葉の意味で認識されない可能性がかなり高いということになってしまう。
声高に「正しい日本語を使おう!」といっても、伝わらないのでは意味がないだろう。
であれば、意味が“違っている”ということを意識しつつ、使うこともやむを得ないのかもしれない。
とはいえ、誤った意味の言葉をそのまま使うということに抵抗がある人もいるだろう。
しばらくは、正しい日本語については、喧喧諤諤の議論が続くだろうが、いずれは、新しい四字熟語として認知され、変換もできる日が来るかもしれない。