震災と鉄道/原 武史

震災と鉄道 (朝日新書)
原 武史

朝日新聞出版

最近、鉄道関連の本や記事などで見掛けることの多くなった、原武史氏。

東日本大震災のあった2011年3月11日の出来事から本書は始まる。

地震直後、駅から乗客を閉め出したJR東日本と、暫定的でもなんとか復旧させた各私鉄で対応方法が大きく分かれたことは、記憶に新しい。

同様に、三陸鉄道でも、震災のわずか数日後に、社長らが現場を視察し応急措置で復旧させることを即決したという。当時、まだ余震などが起きるかもしれないという安全を損なうリスクより、鉄道が走るという安心を優先した事例だろう。

鉄道事業者が、「安全」を確保することは当然のことだが、「安心」を提供するのも鉄道会社の大事な役割だと説く。

最近のJR東日本は、少し意地になってるのではないかと思うくらい、安全に気を遣っている気がする。

利用者も「安全のためなら」と思うし、真っ向から反対できないが、行き過ぎると震災時のようなことが起きるのだ。

全体的に、なぜか、JR東日本に対する辛辣な意見が多い内容で、震災の話にとどまらず、「エキナカ」ビジネスへの批判は、僕も以前からしてるが、まだに、民業圧迫だと思う。

民間企業だから、単純に採算度外視というわけにはいかないだろうが、社会的な使命もあるはずで、採算の合わなくても、地域交通を維持するのは責務はあると思う。

そうした費用を捻出するために、最高の立地条件で商売をして利益を上げているのだというのであれば、多少は反感も収まる気がする。

JR山田線にある区界(くざかい)駅が、有人駅のなかで最も利用客の少ない駅という件を読んでいるちょうどそのときに、山田線に乗っていて、偶然にも、区界駅に差し掛かろうとしているところだった。

本書は、震災と鉄道というタイトルの割には、あまり関係ないんじゃないの?と思うような内容も多く、ちょっと情緒的、感情的になりすぎているという感じは否めなかったが、同意できる点も少なくなかった。

なかでも、興味深かったのは、せめて1日1本でもいいから、東京-名古屋もしくは大阪間に、新幹線とはまったく違った発想での在来線特急を走らせて欲しいというアイディア。こんな列車があったら乗ってみたい。

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