[社会の窓]田んぼの中のかかし
一昨年の夏、新潟県十日町市を中心とした妻有地域で開催されていた「越後妻有(えちごつまり) 大地の芸術祭 2010 夏」というイベントを見学してきた。
ここでは「越後妻有アートトリエンナーレ」というイベントが3年に一度開催されていて、その3年に一度ではない年に行ってきたことになるが、展示されている作品は同じものだ。
山手線の園内よりも広い地域を、巨大な美術館に見立てて、市街地や田畑、果ては、かなりの山奥に至るまで、さまざまなアート作品が展示されている。観覧者は地図を片手に、それらの作品を巡ることになる。
数百もある中で、印象的だった作品のひとつがこれだった。
山の中腹まで上がってみると、、真っ赤なかかしが棚田のあちこちに立っていた。
地元の人たちをシルエットにしたというこのかかしには、それぞれに本名と形取られた年月日が書かれていた。
穏やかな田んぼの中に立つ、強烈なかかしは、いまでも目に焼き付いている。
この地域には、先日富山から帰ってきたときに利用した、北越急行ほくほく線という鉄道が走っている。現在、この鉄道が東京と北陸地域の最短ルートになっているからだ。
先日、北陸新幹線についての記事を書いたが、北陸新幹線が開通すると、当然ここを特急が通過しなくなってしまう。
特急が通過することで得ていた収入がなくなってしまえば、この鉄道の運営は相当厳しいものとなってしまう。
こうした地域全体を盛り上げるようなイベントの存在は、鉄道の存続にもいい影響がありそうで、期待できると思う。