3592 脚色?演出?イメージ写真?

物思いに耽る(雑感)

ちょっと前から、地下鉄のポスターなどで見掛けたものの、今日の新聞広告であらためて、これが「天地明察」という映画の広告だという認識ができた。

江戸時代初めの天文暦学者、渋川春海の生涯を描いた小説が映画化されたもののようだ。

平安時代から使用されていた“宣明暦”で、ズレが生じていたことから、渋川春海によって苦心の末、貞享暦という暦を考案、1685年より採用されたという。

これまで、1000年もの間、中国から輸入されてきた暦を使い続けてきた我が国にとって、初めて、日本人によって考案されたという点で画期的なことであった。

そして、今日見掛けた新聞広告。

小説や映画については、詳しくはわからないが、気になったのは、映画を紹介する広告だ。

江戸時代、金環日食を
言い当てた男がいた!
驚きと感動の日本初の
“暦”誕生秘話!

これはポスターも同様なのだが、この文章の真上の写真は、どう見ても皆既日食で見られるダイヤモンドリングである。

今年は、たまたま金環日食が見られたことから、それにあわせてそんな表現をしたのかな?と思ってちょっと調べてみた。

こちらのサイトによれば、貞享暦が採用されていた時期に唯一起きたのは、1730年7月15日近畿地方を中心に見られたのは、“金環日食”だけだ。

映画の広告のような皆既日食ではない。

おさらいのために、金環日食はこんな感じだ。

しかも、これはフィルターを通した望遠鏡で見ているために、周囲は真っ暗だが、実際は、周囲は相当明るいし、皆既日食に比べれば、たしかに、インパクトは小さい。

5月にあった金環日食にしても、伝えるマスコミが、大げさにしたいせいか、イメージ写真が、なぜか皆既日食になっていたケースが少なくなかった。

先日もテレビで、マツコデラックスが、「あたりが真っ暗になるんじゃないか?」と相当期待していたのに、実際に見たらガッカリしたと言っていた。あきらかに皆既日食と誤解していたことをテレビで言っていたが、同じような人も多かったのではないか?

映画の宣伝に話を戻すが、実際に予言されたのは、金環日食だったわけで、この写真のような皆既日食ではなかったのだ。

はたしてこれは、脚色か?演出か?イメージ写真か?

暦の精度、正確さが、映画の大事な要素でありながら、その広告に誤りがあるのは、どうかなぁ…と思う。

Posted by ろん