3569 2012夏列車の旅~6/6・三陸鉄道と被災地を思いつつ帰路へ

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ザッパ船を降りて、ふたたび、田野畑駅に戻った。

列車の発着がない時間帯、駅はかなりひっそりしている。

すでに代行バスは、駅前に止まっているものの、やはり発車まで時間があるためか、人の気配がない。

駅の中にあるお店には、あまり商品がなく、しーんと静まり返っていた。

そして、僕と同じような観光客もベンチで、バスの発車を待っているようだった。

駅の目の前に、津波到達地という小さな碑があった。

田野畑駅から海は、かなり遠くに見えるし、写真だとよく分からないかもしれないが、そもそも、駅はかなりの高台にある。

とてつもない高さだったのだ。

駅から、海の方向を見ると、

霧でよく見えないが、はるか先に見える。

水門は、三陸鉄道を車両を模したユニークなもので、以前、雑誌か何かで見たことがあった。

特に津波の被害はなさそう・・・と、よく見てみたら、作業用のドアが破壊されていた。

工事関係者の姿が遠くに見えたが、それ以外の人の姿は一切無い。

道路の復旧の工事が行われているのか、ひっきりなしに大型のダンプカーが行き来していた。

一瞬静まり返ると、ヒグラシの鳴き声が聞こえるが、その鳴き声をかき消すように、またダンプカーが行き交う。

残った建物は、決して無傷ではなく、痛々しい傷跡が確認できた。

ふたたび駅に戻る。

霧の中から、一本の列車がやってきた。

三陸鉄道36-600形という昭和をイメージしたレトロ車両だそうだ。

わずかに、駅が賑やかになり、代行バスも、そろそろ出発の時間に。

【田野畑駅 15時40分発 連絡バス6便 小本 行き】

10人ほどの客を乗せ出発。

通常、列車では、田野畑から小本(おもと)では10分ちょっとで着くところが、

【小本駅 16時10分着】

駅の表示がなく、駅ではないみたい。

また時間があったので、ぶらぶらと歩いてみた。

霧もすっかりなくなり、いい天気になった。

ここも津波の影響を受けたはずだが、いまはあまり被害と伝えるものは少なく、穏やかだ。

津波直後の写真と見比べると、いかに当時、すごい津波だったかが分かる。

小本温泉にも、津波が押し寄せたようだ。

ふたたび駅方面に戻る。

小本を折り返す列車の来る時間を見計らって、写真を撮ってみた。

小本駅に到着直前の風景は、社会の窓でも使った。

列車は10分ちょっとで折り返してしまうので、急いで駅のホームに向かった。

【小本駅 17時10分発 北リアス線 普通 宮古 行き】

乗客は数人程度。

いくつものトンネルを抜けていく。

線形がいいせいか、けっこうなスピードで飛ばしていく。

トンネルを抜けと、あまりの殺風景ぶりに、息を呑んだ。

壊滅的な被害を受けた、田老の街だった。

宮古駅が近づいてきた。

駅到着前に、車内放送で一旦停止するという案内があった。

見れば前方に1両列車が止まっている。

ホームが1本しかないため、本来ではあり得ない停車の仕方をするためだ。追突しないように、そろりそろりと入線する。

前方の列車に近づくと、なにやらヘッドマークが…杉良太郎・・・。なぜゆえ?…と思ったら、被災地支援のためのようだ。柄の3本の木は、やはり、杉だろうか?

【宮古駅 17時43分着】

定刻通り、宮古駅に到着。

ここで、お土産を買おうと思ったら、土産物屋が閉まっていた。

もうちょっと落ち着いて考えれば、三陸鉄道の宮古駅の中に、適当なお土産があったはずなのに、街に出て、お土産探しをしてしまったのだ。

そのせいで、時間が無くなり、夕食もまともに買えない状態で、列車に乗り込むことになった。

【宮古駅 18時11分発 山田線 普通 盛岡 行き】

盛岡 まで行く最終列車だが、乗客はまばらだった。

宮古で乗った半分くらいの客は途中で降り、後の半分くらいが盛岡まで乗り通す感じだった。

列車の中で読んでいた本で、JR東日本の有人駅でもっとも乗降客が少ない駅として、たまたま紹介されていた。

ちょうど列車の交換があり、少し降りてみた。

周囲は真っ暗で、1日平均乗降客数1人~2人しかいないのもうなずける。

【盛岡駅 20時26分着】

2時間以上も乗っていたけど、そんなに乗った気はしなかった。

むしろ、もうちょっと乗ってもいいくらいだった。

盛岡駅での乗り換え時間は、わずか6分間しかなく、夕食もお土産も買う時間はまったくなかった。

おかげで、写真もまともに撮れていない。

【盛岡駅 20時32分発 東北新幹線やまびこ70号東京 行き】

この列車に乗ることは、あらかじめ決めていたので、割引料金で切符を買っていた。

だから、乗り遅れるわけには行かなかった。

無事、車内に駆け込むと、車内はがらがら。

割引料金でも指定席なので、所定の場所に座った。

【大宮駅 23時18分着】

東京行きの最終のやまびこだが、途中、こまめに停車していくため、大宮までは、ちょっと時間が掛かった気もするが、行きの普通列車乗り継ぎとは、比べものにならないほどの早さだった。

いよいよ、最後の乗り換えで、高崎線の電車を待つ。

【大宮駅 23時30分発 高崎線 普通 上野 行き】

【赤羽駅 23時45分着】

ついに昨日出発した赤羽駅に到着。

急に疲れが出てきて、降りそびれそうになってしまった。

でも、久しぶりに、たくさんの列車に乗れて満足できたし、被災地も直接見ることで、いろいろと気付かされることもあった。

おまけ : てをつな号

Posted by ろん