3512 Wの悲劇(ドラマ評)
夏樹静子の推理小説として、これまで映画やドラマなどになってきたことは、知識としては知っていたが、これまで見る機会がなかった。
今回、たまたま見始めたので、見続けている(毎週木曜日21時~/テレビ朝日系)。
せっかくなので、久しぶりにドラマ評を…。
どんなドラマでも、見るときは、どうしてもいろいろとツッコミを入れてしまいがちで、落ち着いて見ることができない性格なのだが、このドラマも初回からそうだった。
そもそも、和辻家令嬢の摩子が、どうして双子の妹である倉沢 さつきを見つけ出すことができたのだろう。
そうでもしなければ、ドラマは始まらないわけだが、そこが気になって仕方がなかった。
このドラマでは、見事に“はしょって”いるが、これまでの映画やドラマではどうだったのだろうと調べてみたら、これは、なんと今回のオリジナルのようだ。
タイトルの、Wって、もともと、二役の意味かと思っていたが、そうではなかったわけだ。
こればかりでなく、詰めの甘さが、次々と見えてきてしまう。
和辻家は130年間、和辻家の全財産を血を引き継ぐ者の中からただ一人だけに譲るという慣わしの家柄だという。
で、産まれてきたのが双子であったため、財産争いになることを恐れ、妹のさつきを捨てたということだった…
でも、まてよ。なんで、ご丁寧にも、捨てられた妹さつきの踵に、一族の一員であることを示す“w”の刺青が入っているの? 刺青なんかしないで、生まれたらすぐに捨てればいいじゃないの?
「財産争いをどうぞ」と言わんばかりだ。
殺人事件のアリバイ作りをするのに、写真に写る人物に口裏合わせをしていないとか、発信場所を特定されることをまったく恐れずに携帯電話をかけるなど、詰めの甘さばかりが目立つ。
この程度で“ドラマとして成立”してしまうこと、そして僕がこの“ドラマを見始めてしまったこと”…このふたつが、まさに、“Wの悲劇”かもしれない。