3499 ソニー製鉄道模型 マイクロトレーン
ふだん、めったに行かない銀座に足を運んだのは、ここでちょっと珍しいものを展示しているということを知ったからだ。
その変わったものというのは、ソニー製の鉄道模型だ。
1964年(昭和39年)に、ソニーが日本初のNゲージ鉄道模型として、発売を目指していたという。
試作された車両は、ED75型電気機関車とスハ43系客車。
関係者に200台配られたという、その試作品が展示されているというのを知って、思わずやってきた。
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平日の19時前という時間のせいか、ほとんどお客さんはいなかった。
実はこの展示は、きかんしゃトーマスのイベントの一部として催されているもので、これ以外は、すべて、きかんしゃトーマスの関連ばかりだった。
映像で、走るED75が映し出され、実物は透明のケースの中に収められていた。
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また当時を知る関係者の証言は、とても興味深かった。
ソニー創業者の盛田昭夫は、日本初となるNゲージ規格の鉄道模型は、決してただのおもちゃであってはならず、喜んでもらえるようなものにすべきと考えたという。
たとえば、無線を使って、複数の列車をコントロールできるようにしようとか、急発進や急加速しないようにするとか、当時、世の中にないものを作ろうと、議論を交わしたという。
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もっとも、展示されている製品を見る限り、現在のNゲージと比べれば、けっして完成度は高くないが、考え方は、50年近く経った現在にも十分通じる。
世の中にないものをつくる。
世の中に新しい喜びを。
未来は自分たちでつくる。
結局、諸般の事情から日の目を見なかったが、もし、そんな思いの詰まった鉄道模型が実際に発売されたら、どんな製品になっただろう?
こんなところに、かつてのソニーらしさみたいなものを感じた。