4109 「ザ・タワー展」を見学
タワーに興味があるということは、以前よりお伝えしているとおりで、今回江戸東京博物館で開催された「ザ・タワー 都市と塔の物語」なんて企画展を知ったら、行かないわけには行かなかった。
天気予報が外れて、肌寒く霧雨が降る土曜日、江戸東京博物館に向かう。
こんなあいにくの空模様のせいか、お客さんがかなり少なく、比較的ゆっくりと見ることができた。
展示(キャッシュ)は、バベルの塔と仏塔の紹介から始まり、高層建築物を作ることが禁止されていた江戸時代を経て、明治に入ると、さまざまな展望施設が誕生する。
これまで何度も行ったことのある愛宕山の頂上には「愛宕塔」、浅草公園には「富士山縦覧場」と、当時の人たちの人気を集めた展望施設が作られたということを初めて知った。
特に、「富士山縦覧場」は、木材と漆喰で作られたハリボテの富士山の形をしていて、大変賑わったらしい。
しかし、暴雨風雨で相当なダメージを受け、お客さんがぱったりと来なくなったため、あえなく解体廃業となったという。
展望施設は人を集めるということで、その後、凌雲閣(浅草十二階)につながっていくようだ。
気球で空高く舞い上がり、パラシュートで降りてくるいうパフォーマンスをしているイギリス人が来日というエピソードもおもしろかった。
なんと、それを当時の明治天皇に見てもらう天覧イベントとして欲しいという願いが叶えられる。
そして凌雲閣だったら、よく見えるだろうと、たくさんの人たちが集まったという。(実際にはよく見えなかったようだが)
また、エッフェル塔に関連した展示も豊富で、知らなかったことがたくさんあっておもしろかった。
万国博覧会のために作られたエッフェル塔が、会期を終え、契約期間が終了し、来場者も減ったたことから、エッフェル塔解体が真剣に考えられていたという。
さらに、解体されないまでも、もはやエッフェル塔とは似ても似つかぬ姿への改造プランが、いくつも紹介されていたのは、とても興味深かった。
また、興味深かったのは、富士山縦覧場にしても、浅草の凌雲閣にしても、なんと、パリのエッフェル塔にしても、どういうわけか、みんな「すごろく」が作られていたということだった。
タワーに上るということが、すごろくの“上がり”に繋がるイメージがあるからだろうか?
浅草の凌雲閣は、関東大震災で倒壊し、通天閣も火災や戦争によって失われてしまう。
その後、東京タワー東京のランドマークとして、通天閣は再建し大阪のランドマークとなった。
都市のランドマークとしてのタワー。
こうして考えると、タワーは、ひとつの街に1つだけということだったのに、東京は初めて、ランドマークとしてのタワーを2つの持つ都市となるんだなぁ…と思った。
吉と出るか、凶と出るか…
凶と出ては困るけど。
こういった企画展が、この時期に開催されるというのは、当然ながら?、東京スカイツリー開業を記念するものだが、今回の展示の中では、東京スカイツリーに関する展示や紹介は、極めてわずかだった。
これは、東京スカイツリーが今年完成したばかりで、博物館として展示できるような“歴史”がないから?なんて思った。
これから作られていくわけで、10年後、20年後には、きっとたくさんの歴史とともに、東京スカイツリーのことも紹介されることになるんだろうな…と。
期待通りの企画展だった。