一瞬で自分を変える法/アンソニー ロビンズ

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一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える 一瞬で自分を変える法―世界No.1カリスマコーチが教える
アンソニー ロビンズ Anthony Robbins

三笠書房 2006-11
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本書で基本となる考え方は、「自分の脳を効率よく働かせて、人生の主導権を握る」というものだ。

人間は、たまたま憂鬱になるわけではない。

精神と肉体が憂鬱特有の行動をすることで、本当に憂鬱になってしまうという。

逆に、微笑みや笑いは、気分を良くするためのスイッチであり、気分がいいから笑うのではないのだ。

なるほど、たしかに、そういうこともあるだろう。

僕も、以前から、意識して、表に出さないようにしようとは思っているものの、つらいときには、どうしても、負のオーラで溢れてしまい、みんなに迷惑を掛けてしまっている。l

頭では分かっていても、身体や気持ちがついていかないのだ。

その対処方法のヒントを期待しつつ、本書を読み進めていくと、いい言葉がたくさん紹介されている。

「土俵を設定する人がビジネスの主導権を握る」というくだり(p.207)は、以前読んだ本でも、近いようなことが書かれていたのを思い出した。

その本では、ルールを押しつけるのでもなく、押しつけられるものでもない。自分にもこういうルール(土俵)がありますよっていうことで、自前の「ポータブル土俵」を持てという発想に、ハッとさせられた。

しかし、本書では、読んでいくうちに、どこか斜に構えた気持ちになってしまったのだ。

これは、僕のひねくれた性格のせいだろうか?

成功している人や、自分が“この人だ”と思う人の動作を真似して、なりきることで、その人に近づいていく…

…というが、そもそも、そういう人に出会ったことがない。

自分の楽しかったことや、自分が成功し続けつているときのことを思い出し、それを握り拳を作るような簡単な行動と紐付ける。パブロフの犬のように。そうした訓練を繰り返せば、いつでも、自信がみなぎった自分になれるという。

残念ながら、それほど楽しかったことや、自信がみなぎっていたような経験はなく、話はそこで終わってしまう。

もちろん、これまで生きてきて、楽しかったことはある。

しかし、それは「このような楽しい時間は、長くは続かない。すぐに終わってしまう。」…というネガティブな気持ちと必ずセットになっているので、どうにも単純ではないのだ。

「成功とは到達すべき目的地でなく、前進し続けるプロセス」…というのはもっともだが、この「前進し続けるプロセス」を維持し続けることこそが難しいのではないか?とか…

「努力の差こそ、結果の差」…というのであれば、そりゃそうだとしか言いようがない。

結局、「一瞬で自分を変える」という資格を満たしていないという気がしてならなかった。

非常に評価が高い本なだけに、そういった気持ちにならなかったのは、残念だったし、どこか劣等感に似た気持ちにも感じた。