日本ブランドが世界を巡る/渡部 千春

■芸術・デザイン,龍的図書館

日本ブランドが世界を巡る 日本ブランドが世界を巡る
渡部 千春 日経デザイン

日経BP社 2010-06-24
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海外に行ったとき、日本でおなじみの食品や日用品が店頭に並んでいたり、広告を見かけるとなぜだかちょっと嬉しくなる。

でも、よくよく見ると、日本のそれとは、いろいろなところで異なるのだ。

その国の文化や歴史的経緯によって、受け入れてもらうための、さまざまな工夫をしている。

この本では、雑誌「日経デザイン」で連載された記事から21商品を紹介。日本で売られている商品と、海外で売られている商品のパッケージを比較し、その違いを考察していく。

たとえば、日清のチキンラーメン。

パッケージを思い出せしてもらうと、チキンラーメンの上に載った生卵が印象的だが、生卵に抵抗がないのは日本くらいだそうで、中国、香港向け以外では、炒り卵、ゆで卵、鶏肉に置き換えられたり、スープや麺の量などにも違いが見られるのは、興味深い。

これも、前述の通り、現地で受け入れてもらうための工夫なのだ。

他にも、味の素は、文字が読めなくてもサイズの違いを色で識別できるようにしたり、ベジタリアンの多いインドでは、動物性の原材料が使われていないことを示すマークをつけたり、イスラム教の多いインドネシアでは、イスラム教の法律に則った食品であることを示すマークがついている。

これまたおなじみの金鳥の蚊取り線香。タイ向けは、金鳥のロゴは同じながらも、パッケージに描かれている蚊がやたらとリアルに描かれているのが特徴。テング熱、マラリアを媒介する蚊は憎々しい存在なのだそうで、それをやっつけている感じの絵が効果的なようだ。

日本生まれの製品を見ていると、その国や地域の事情がわかっておもしろい。もちろん、この本のような解説が不可欠ではあるけど。

今度海外に出掛けるようなことがあったら、もっと注意深く見てみよう。

Posted by ろん