3295 サロベツ原生花園

旅行・見学・イベント

このあたりは、利尻・礼文・サロベツ国立公園と呼ばれるところで、やってきたサロベツ原生花園の、サロベツ湿原センターは、その中心的施設だ。

ビジターセンターとして、このあたりの情報を教えてくれるとともに、ここから延びる2kmほどの遊歩道の出発地にもなっている。

建物は新装オープンしたばかりらしく、とてもきれいだった。

さっそく、遊歩道を歩いてみる。

まず目に飛び込んできたのが、船のような形をした、巨大な機械だった。

いったい何の機械だかわからなかった。大自然の中でのあまりに無骨な機械には、とてつもない違和感を覚えた。


解説の看板を読むと、かつて、この地で、泥炭を採掘していたそうで、この機械は、浚渫船だった。

しかも1990年代まで実際に、湿原を徹底的に掘り返していたのだ。

それが、いまでは、ラムサール条約で世界的にもその価値が認められ、保護されているわけだから、時代の評価とは、なんともいい加減だ。

自然観察路の最初にインパクトのある浚渫船を見ると、見渡す限りなんにもない光景が、とても貴重で、大切なものに見えてくる。

人工的な角のある池のような場所は、浚渫船が泥炭を掘り返した跡だった。

現地の案内版にもそのことが書かれていた。現場ではわかりにくいが、上空から見ると、いまだに生々しく掘り返した跡が残っているのだ。

季節がもっとよければ、一面に花が咲き乱れる光景が広がっていたのかもしれないが、もう7月も下旬ともなれば、あまり咲いていない。

それだけに、少しでも咲いている姿を見ると、気に掛かる。

約2kmの観察路を歩くと、もとのサロベツ湿原センターに戻ってこられる。

サロベツ湿原センターの隣に、泥炭産業館がある。

このサロベツ湿原センターは、もともと泥炭を採掘し加工する工場の跡地に作られているせいか、解説が、泥炭の採掘をどこか好意的に捉えているような感じがした。

なんとなくだけど。

泥炭を手にすることができた。

この泥炭。1年にわずか平均1㎜位しか成長しないのだそうだ。1mの泥炭が堆積するためには、およそ1000年という気の遠くなるほどの時間が掛かる。

それを、一気に掘り返してしまう浚渫船は、どこか恐ろしい機械のように見えて仕方がなかった。

Posted by ろん