ある小さなスズメの記録/クレア・キップス 梨木 香歩

■いきもの, 龍的図書館

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
クレア・キップス 梨木 香歩

文藝春秋 2010-11-10
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もっとも身近な野鳥といってもいいスズメ。

身近だけれど、“スズメを飼う”なんてことは、ほとんど聞いたことがない。この本は、そんなスズメを、なんと12年以上も飼いつづけ、克明に綴った珍しい記録だ。新聞の書評欄で話題になっていると、おじゃこから教えてもらい、例によって図書館で取り寄せた。

1940年7月。戦時下のイギリス。物語は、著者が玄関前に瀕死のスズメを見つけるところから始まる。

このスズメは、生まれつき障害を持っていた。そんなスズメが、巣から落とされてしまったら、ふつうはまず生きていくことはできないだろう。著者に拾ってもらったことで、スズメの人生?は、大きく変わった。

著者は、もともと鳥に対して造詣が深く、必至の看護で危機を脱し、奇跡的に復活を遂げる。

著者は、音楽の専門家であり、ピアノの練習に、ずっと付き合わせたことも、のちに、スズメらしからぬ歌声を披露することにつながったのだろうが、なにより、スズメの人生を大きく変えたのは、著者のスズメに対する、溢れんばかりの愛情だろう。

文章全体から、そんなことを感じた。

さまざまな興味深いスズメの生態が紹介されているが、スズメが12年以上も生きるなんて知らなかったし、意思の疎通や芸なんかもできてしまうなんて、ビックリした。

スズメがどんな状況にあっても、いかに生きていこうとするか?を、スズメ自身でも必死に模索しているようにも見えた。愛情を注げば、スズメだって、ちゃんと応えてくれる。スズメからも、たくさん学ぶことがある。

楽しく読ませてもらったが、1点だけ気になることが…

これは、あくまで、僕の不勉強ということに尽きるのかも知れないが、イギリス風の“格調高い”引用というか、訳注を加えないとわからないような例え話が、本文中に散見され、ちょっと読みにくいというか、わかりにくいところがあった。

そのあたりの知識が全くないせいで、いちいち、この部分で読むペースが落ちてしまったり、話している内容そのものがわからなくなったりしたのが残念だった。