3051 今年も都立産業技術研究センター見学
東京都立産業技術研究センターの施設公開を見学してきた。去年も行っているが、気軽に自転車で行けるのも、今年が最後。来年からは、臨海副都心のテレコムセンターと、フジテレビ湾岸スタジオの間に移転することが決まっているからだ。
今年も、先着順に苗木プレゼントという企画があって、まだ玄関には苗木があったが、すべて予約済みだった。ちなみに、昨年もらった苗木は、途中で枯らしてしまった。ごめんなさい。
まず始めに、模擬落雷実験を見学。
目の前で、擬似的な落雷を起こしてもらい、本物のダミー人形に電気が走る瞬間を目の当たりにした。写真に撮ろうとしたのだけど、あまりの音の衝撃にシャッターを押すタイミングがずれてしまって撮れなかった。動画で撮ればよかったと、いまさら後悔。
前から疑問だったことを係の方に聞いてみた。 送電線に触れると感電する…というのは、なんとなくわかるが、そもそも銅銭剥き出しで送電しているわけではなく、被覆してるはずなのに、どうして感電するのか?と。 答えは、高電圧の場合、送電線との間に空間があっても、電気は漏れ、近づいたら感電してしまうのだそうだ。つまり被覆は感電させないためにあるものではないってことだろう。ひとつ謎が解決して嬉しい。
「粉からできる造形品」というコーナーへ。扉を開けて中に入ると、真っ白で軽いキーホルダーをもらった。サッカーボールのような形をした球体の中に、サイコロが入っているという凝った作りだ。ナイロンの粉でできているらしい。
コンピュータで指示をすると、レーザーで層を作りながら焼き固めていくのだそうで、こんなキーホルダーのようなものまでできるんだったら、どんな複雑なものでも作ることはできるだろう。
そもそもの用途は、例えば家電製品…ここでは電気掃除機やドライヤーなどが展示されていたが…を量産する前に、設計通り部品が収納できるかだとか、イメージ通りのデザインになっているかなどを確認するために使われているとのこと。
次に、音響棟というところに行ってみる。その名の通り、音に関しての研究を行う場所だ。大きく、2つの部屋がある。
ひとつめが、残響室という部屋で、発生した音がどこにいても同じ大きさに聞こえるよう、音を反射しやすいコンクリート製の壁で、かつ特殊な七面体になっている。とにかく音がよく響く部屋だ。吸音材の測定などに使われるそうだ。
音の響く部屋の次は、音が一切響かない無響室。周囲がくさび状の素材で覆われている。全く音が響かないという状況に軽い違和感。普通はどんなところでも、ちょっとは音が響いているが、ここは徹底して音が響かないように作られているため、とにかく静かなのだ。部屋の床も壁・天井同様の特殊な素材になっているが、これだと歩けないので、金網が張ってあった。ここにものを落としたら、まず拾うことはできなさそう。
次に訪れたのが、ガラスの世界というコーナー。
「破損事故解析」という仕事をされているという方にお話を伺うことができた。
ガラスが壊れたとき、再発防止の対策を立てるためには、なぜ割れたのか、その原因を特定する必要がある。ここでは、そうしたガラスの割れた原因を特定するという、かなり特殊なお仕事をされているという。
ここに持ち込まれるのは、割れたガラス片。これを丁寧に組み立て、亀裂の入り方や破断面を観察し、原因を突き止めていく。根気のいる作業だ。
ガラスは他の物質と違って、壊れたら、その瞬間の様子がそのまま残るという性質があるため、状況によってはこうした解析が行えるのだろう。
またこういった研究ばかりでなく、三宅島や新島の火山灰や石を使ったガラスなどの開発なども行ったそうだ。火山灰に含まれる鉄分が独特な美しい“マリンブルー”を生み出しているという。それほど離れていない新島では、全く違った色になっているのも興味深い。
他にも、強化ガラスや耐熱ガラスのお話なども伺えて楽しかった。ちょうど先日、iPhone4をアスファルトに落として液晶のガラスが割れるんじゃないかと心配したばかりだったので、偶然にも、ガラスが僕の中でホットな話題だった。
あまり時間がなかったので、最後に、都立産業技術高等専門学校の生徒たちが作ったという、人工衛星の模型を見に行った。
わずか30cm四方の小さな金属の箱が、いまでも地球の周りを回って、モールス信号を発信し続けているという。
秋葉原や100円ショップで買ってきた材料なども使ったというから、これまたちょっと驚き。
今年も、いろいろと楽しませてもらった都立産業技術研究センターの施設公開。この地での開催が、これで最後とは本当に残念。来年、新天地のテレコムセンターで開催されるのであれば、ぜひ行ってみたい。
けれど、これまでのように新聞の折り込みチラシが入ってないと、気付かなそうなのが、いまから気がかり。