柳原可奈子の気になっちゃう感じですか?/柳原可奈子
柳原可奈子の気になっちゃう感じですか? 柳原 可奈子 幻冬舎 2009-05 |
本書の冒頭でも触れられていたが「人間観察が趣味」という人は少なくない。
趣味とは言わないまでも、無意識的に僕も人間観察しているときがある。「この人はどんなことを考えているのだろう?」とか、勝手に境遇を想像してみたり、自分でかなりいい線いってるな…なんて思うときは、当たっているかどうか直接本人に確認してみたくなる…。
そんな人間観察が趣味でそれを仕事に生かしている芸人柳原可奈子の初エッセー集。
文章は話し言葉で読みやすく、ともすれば軽い感じに思える一方で、観察対象者に対しては、少し距離を置き、そしてちょっとシニカル…という“立ち位置”には、彼女なりのポリシーが感じられた。
人間観察はもちろん、彼女自身の思考回路の分析は、とても興味深い。
彼氏の写真だったら見たいけど、ペットとか子供の写真は「可愛い!」以外にコメントすることがなく困ります。やっぱり、人間ってダークな面も見たい生き物なんじゃないでしょうね。ペットや子供はハッピーでしかないけど、彼氏はもしかしてブサイクかもしれない。そしたらちょっとうれしいというか…。
椅子背れにせよ、見せられた瞬間に言っていいこととダメなことを瞬時に仕分けないと行けない作業がわずらわしい。
なるほど、こういう解釈もできるのかと、妙に納得。他にも、エコブームの軽さや安っぽさに違和感を覚える…といった、生き方や考え方などにも話は及ぶ。
ブランドモノを身に纏っている女性が読むような雑誌に、地道にお金を捻出する方法がたくさん紹介されているという違和感、やたらとマカロングッズを身につけてしまう女性は「可愛いでしょ?」という共通認識に安堵感を覚え、それだけに飽きたらず、他人にも可愛さを押し売りしてるだけなのではないか?…などなど。
10~20代前半の女性にカメラを向けたときは自分自身の表情で勝負するのに対して、20代後半以降の女性になると何か物に頼ろうとして、明らかにその写り方(写され方)が異なる…なんてという指摘も、なるほどと思わせる。
人間観察から、著者の人となりも垣間見えたような気がした。