2943 役割
朝のできごと。
自動改札機が3台並んでいる駅の改札口。
この自動改札機は、入場と出場が1台ずつあって、残る1台は入場と出場の兼用機という役割を担っている。
駅に列車が着くと、大勢の乗客が駅から出てくるため、入出場兼用の自動改札機は出場する客に使われてしまい、入場する自動改札機は、当然ながら、1台だけになる。
駅に入ろうとする客が、一列になり自動改札機を通過していく。
すると、ひとりの男性のSuicaなどのICカード乗車券がうまく認識しなかったせいか、「ピンボーン」という音ともに、自動改札機の扉が閉まった。しかし、その男性は、そのまま突破してホームに向けて歩いていってしまった。
入場用の自動改札機の扉は閉まったままとなってしまった。兼用機は相変わらず出場する客に占領されてしまっていたため、入場ができない状態となった。
朝の時間だから、入場客も多い。みるみるうちに行列ができてしまう。
行列のひとりとなった僕は、それほど急いでいなかったので、この状況が、このままどうなっちゃうんだろう?と様子を見ていた。
気になったのは、ここからだ。
この状況は、駅事務室のなかの若い駅員から、よく見えていたはずだ。しかし、何の対応をすることなく、他の駅員と談笑しているではないか。
「ちょっとー!何とかしてください!」
しびれを切らした、中年女性が大声を上げた。そりゃそうだ。この状況を変えることができるのは、この若い駅員しかいないのだから。すぐさま、扉を開ける操作をして、行列は解消した。
仕事をする上で、「いま自分がしなければならないことは何か?」、「自分の役割は何か?」と考えることは当然のことだろう?
コンビニでも、似たようなことを経験することがある。レジにできた長蛇の列の存在を知っているくせに、品出しや陳列棚の整理など、今すぐにやらなくてもいいことを続けてしまうアルバイトも同じ。
マニュアルには書いてないことかもしれない。けれど、想像したり、自分が逆の立場になって考えれば、おのずと自分がやらなければならない、役割が見えてくるはずだ。