ネット帝国主義と日本の敗北/岸 博幸

ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 (幻冬舎新書) ネット帝国主義と日本の敗北―搾取されるカネと文化 (幻冬舎新書)幻冬舎 2010-01
売り上げランキング : 2147

Amazonで詳しく見る

by G-Tools

ちょっと激しいタイトルだが、副題として「搾取されるカネと文化」とある。

インターネットが普及して、とても便利な世の中になったというのは、誰もが認めるところだろうけれど、その歪みや問題について、あまり声高に言われていないような気がしていた。

ここでいう歪みや問題というのは、インターネットを使った犯罪や事件というたぐいではなく、インターネット上に流れる情報は“なんでも無料”という考え方や、グーグルのような一部の企業が圧倒的な規模でひとり勝ちしてしまう状況のことを指す。

この本では、まさにわが意を得たりと思える話が多く書かれていて、これまでうすうす考えていたことが証明されたような気がして嬉しかった。しかし、現実として問題が存在するということになるわけで、嬉しいなんて言ってられないわけだ。

 

ネット上の
サービス
●コンテンツ/
アプリケーション
テレビ局、新聞社、出版社…etc

●プラットホーム グーグル、ヤフー、アマゾン…etc
 → いま、ここだけが異常に儲かっている

●インフラ NTT、CATV…etc

●端末
(p.42より引用)

 

インターネットができる環境を作ったり、そこを流れるコンテンツ(音楽やニュース)を用意するところは、大変な手間と時間を掛けているはずなのに、そういったところはほとんど利益を出せていない一方で、検索結果を提供するグーグルのような企業が莫大な利益を上げている現状…。

そして、グーグルはもちろん、そのほかのインターネット関連企業の多くは、アメリカ資本であるという現状…。日本はアメリカのネット企業用の“植民地”化していると言っても過言ではないと著者は指摘する。

利益が搾取されていることが、そのまま文化の衰退にもつながっていると考えると、実は相当深刻な状態になっているわけで、早急に対策を考えないといけないのだ。

全体的に、多少偏った感というか煽りみたいなものがあって、具体的なあるべき姿までは、残念ながら描かれていない。でも、そんな簡単に処方箋が見つかるわけもなく、まずは、みんながこうした問題があることに気づくべきだろう。

この本は、インターネットに携わるできるだけ多くの人に読んでもらいたいと思った。