2889 真岡鐵道で蒸気機関車初乗車

鉄道

先日、会社の後輩のAJ君が急にやってきて、「これよかったら…」と言って差し出したのが、「SLもおか 乗車整理券」だった。この乗車整理券は、真岡鐵道を走る蒸気機関車に乗るための“権利”を示すもので、別途乗車券は必要になるものの、1枚500円する。

話を聞けば、都合が悪くなって乗れなくなってしまったとのこと。払い戻しするのも費用がかかるので、それならば…と譲ってくれたのだ。

実はここのところ、あまり体調はよくなかったのだけれど、せっかくの機会なので行くことにした。おじゃこは留守番。

東北本線(宇都宮線)に乗って小山駅へ。そこから水戸線に乗り換えて…

下館駅までやって来た。2時間弱の電車の旅だった。

真岡鐵道のホームに行くと、ちょうど蒸気機関車が、ディーゼル機関車に牽かれてやってきたところだった。蒸気機関車の出発前に、普通列車が出発するため、ホームから離れた線路に止まっている。

ディーゼル機関車と蒸気機関車の音を聞いているだけで、軽い高揚感を覚える。

すでに、蒸気機関車に乗ろうとしている人たちが大勢ホームに集まり、写真を撮っていた。

ホームから離れたところに蒸気機関車が止まっているおかげで、機関車全体が見通すことができる。桜の淡いピンクと黒くて力強い機関車のコントラストがいい感じ。



石炭で走る蒸気機関車に乗るのは、実は初めて。間近で機関車を見るのも久しぶり。いろんなところを見て回るのに忙しい。

運転室を外から眺める。パイプやレバー、計器が並んで、何がなんだかよくわからない。まさに機械の塊って感じ。

腹の底に響くような汽笛を鳴らし、いよいよ出発。

その豪快の汽笛とはうらはらに、動き始めは、そろりそろりといった感じ。

蒸気機関車なんて乗ってしまえば、ディーゼル機関車か電気機関車と同じで、特に面白味もないんじゃないかと勝手に思っていたのだが、これが大いなる誤解だとわかった。

まず、なんと言っても“音”。先述したとおり、ビックリするくらいの大きな汽笛は、他では決して味わえない。

そして乗り心地の“悪さ”。

蒸気機関車が客車を引っ張る間は、ゴツンゴツンとした振動というか衝撃が頻繁にある。ある程度のスピードに乗ってくると、ようやくその衝撃がおさまる。もしかすると、この機関車と客車特有の現象なのかもしれないが、「今まさに蒸気機関車に乗っているんだ」とわかるには十分だった。

車内販売がやってきた。

ワゴンとともにやってきたのは、おばあちゃん2人組。

なんとなく“行商のおばあちゃん”のような感じ。


駅に着くたびに、カメラを向ける大勢の人たちに囲まれる。

久下田駅からは、団体客が大勢乗り込んできた。

蒸気機関車の乗車がバスツアーに組み込まれていたようで、2駅先の真岡駅まで乗っていくようだ。

しばらくすると、前方からなにやら激し叫ぶ声がした。

「ゴルゥア、どけよ、この野郎、聞こえねぇのか、どけって言ってんだろう!」

最初、誰の声かわからなかった。写真を撮ろうとしている人たち同士の罵倒かと思ったら、そうではなく、線路に入り込んでいた、線路沿いで蒸気機関車にカメラを向けている人たちに対する言葉だった。

美しい桜をすり抜けつつ、短く鋭い警笛、運転士の叫びが何度も響く。

叫んだ先を通過したとき、線路ギリギリまで入り込んでいる中年男性の姿があった。

あぁ、こんな奴、イヤだイヤだ…。

線路沿いには、想像をはるかに超える人たちが集まって、全員がこちらにカメラを向けているので、変な感じ。

100人とか数百人というレベルではなく、場所によっては千人は軽く超えてるだろうと思えるくらいの人が

蒸気機関車は真岡鐵道の終点である茂木まで行くが、僕は途中の益子で下車。

1時間弱の蒸気機関車の旅はこれでおしまい。

益子焼で有名な、益子町の中心である、益子駅にやってきたが、駅は立派なものの、その周辺は、かなり寂しい感じ。街の中心部は、ここからちょっと離れているらしく、列車の出発待ちの間に、ぶらりと行けるようなところがない。

空を見上げたり、駅に置かれた巨大な益子焼の壺と一緒にダミーを撮ったりして過ごす。

30分ほどで、下館行きの普通列車がやってきた。真岡鐵道のディーゼルカーだ。

それにしても、この独特な色づかいは、正直あんまり好きになれないなぁ…。

やっぱり、先頭車に乗ってしまう。

蒸気機関車と違って、正面の景色がよく見える。しかも、この列車の先頭車は乗務員室(運転士室)は、進行方向左半分しかないため、右半分はフリーのスペースになっている。だから、運転士と同じかそれ以上前で、前方の景色を楽しむことができるのだ。

まっすぐに延びた線路。菜の花と桜が見事。

蒸気機関車に乗ったことがない人は是非。長時間でなくてもいいので、間近で見て、機関車の力強さを感じてほしい。

Posted by ろん